増加傾向の大腸がん患者。まずは簡単な検査、はじめませんか?
大腸がんの現状
俳優 故今井雅之さんの「末期がん」会見は今でも記憶に残っている人も多いだろう。
2015年5月に54歳という若さで大腸がんにより亡くなった。
2015年、大腸がんは女性のがんによる死亡率第1位である。さらに、一生のうちに大腸がんと診断される割合は男性でおよそ11人に1人、女性でおよそ14人に1人の割合である。
さらに大腸がんは年々、罹患率、死亡率ともに上昇傾向にあるのだ。
もう他人事で済ませられるような疾患ではない。
私の友人も
『息子のランドセル姿を見るまでは絶対に死ねないな。』
と、哀しそうに笑っていたが、大腸がんと約5年間闘い続けた末に、夢を果たせず35歳の若さでこの世を去った。
妊娠し、検診を受けた際にがんであることが発覚した。
しかし、がんの『シグナル』は以前から日常生活の中で発せられていたのだ。
『便潜血』若い人には馴染みのない言葉だ。
それもそのはず、一般的に大腸がんの罹患率は40歳から増え始めるため、便潜血検査は40歳以上を対象として職場や各市町村で実施している検査だからだ。
がん検診については、各自治体のがん検診窓口に問い合わせてほしい。
便潜血検査
この検査は、便の表面に付着した血液を調べる。
がんは細胞の増殖が盛んであり、新しく血管を作り出す性格を持つ。
しかし、新しく作られた血管は通常のものよりももろいため、出血しやすい。
便潜血検査は、腸の粘膜にできたがんに、便がこすれて出血するため、便の表面に混じった血液を調べるのだ。
もちろん、痔持ちの人でも血液が混じることがあるので、
便潜血(+)が必ずしも大腸がんではないし、早期の大腸がんなど出血しない場合もある。
しかし、大腸がん“疑い”を発見できるきっかけとなる。
『だったら大腸内視鏡検査をする方が正確でしょ?』との意見もあるだろう。
もちろん、肛門からカメラを入れ、腸内を目で見てしっかり確認できる大腸内視鏡検査は確実に腸内の異変を捉えられ、大腸がん検査の精度は格段に高い。大腸内視鏡検査を最初から受けてくれるのなら願ったり叶ったりだ!
だが、どうだろう。痛みもなく時間もかからず、通常ならそのままトイレでオサラバする便で“疑い”を発見できるなら、『ちょっとやってみようかな。』と思えないだろうか。現在の便潜血検査は、ヒトの血液成分を特異的に捉えることができるため、魚や肉類などの食事制限も必要ない。普段通りの生活の中で検査をすることが可能だ。
早期発見で9割以上が完治!?
40歳以上の人は、職場や各市町村のがん検診を積極的に受けて欲しい。
また、がん検診を行なっている医療機関や、人間ドック、郵送の検査キットで便潜血検査を行えるため、40歳未満の人でも受けることが可能だが、我が国では保険適応外となるため自費となる。
しかし便潜血検査の費用はだいたい2000円以内だ。
大腸がんは早期に発見すれば9割以上が完治すると言われている。
私の友人のように、
「もっと早くにやっておけば…」と
がん検診をせずに後悔をすることがあっても、
検査をして後悔することが少ないのは間違いない。