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ソーシャルメディア時代のG7「写真バトル」一覧、勝ったのはドイツ?それとも…

藤代裕之ジャーナリスト
G7の写真。左がドイツ、右がアメリカの政府関係者のツイート

カナダで開かれた主要7か国首脳会議(G7サミット)の会議写真が話題になっています。トランプアメリカ大統領に詰め寄るメルケルドイツ首相の写真がソーシャルメディアで拡散していますが、他の参加国もそれぞれ同じ会議シーンをソーシャルメディアで発信しています。

これらの写真は各国が自国に都合が良いようにG7の成果イメージを発信する「情報戦」「世論操作」であり、比較して確認することは非常に重要です。また、同じ出来事でも見る角度により異なる印象を与えることが分かるという点で、メディア・リテラシーの観点からも興味深い事例です。

各国首脳やスタッフがソーシャルメディアに発信した写真を探し、出来るだけ集めてみました。ソーシャルメディアで話題になると、コピーしたもの、異なるコメントを付与したものなどが拡散し、間違った情報に触れてしまう可能性が高まります。話題の情報ほど、発信元(ソース)を確認することが非常に重要です。

下記AFPの記事で「写真バトル」の経緯がまとめられています。

アメリカ

記事によれば「最初に会議の様子を外部に伝えたのは、米国のサラ・サンダース(Sarah Sanders)大統領報道官」。トランプ大統領を中心に、隣にはジョン・ボルトン大統領補佐官が書類を抱えて立っています。

アメリカは米ホワイトハウスの報道担当者のツイートもあります。こちらはカラーで、サンダース報道官の写真より少し引いたもの。首脳たちの密集度が分かります。

フランス

「10分後、フランス大統領府が同じ瞬間を別の角度から撮影した写真を公開。」。建物の外側から撮影した写真のようです。フランスのマクロン大統領が中心にいて、話している様子が見えます。

ドイツ

「これは良くないと思ったのかメルケル氏の報道チームは大技を繰り出した。」と記事は書いています。写真はメルケル首相のインスタグラムに掲載。両手をテーブルについたメルケル首相が、腕組みしたトランプ大統領に詰め寄っているようにも見えます。

撮影したのはドイツ政府公式カメラマンのイェスコ・デンツェル。下記にリンクしているアカウントは連邦政府報道情報局のSteffen Seibert。

イタリア

イタリアのコンテ首相のツイート。

日本

日本政府も、安倍首相や首相官邸のツイッターアカウントなどで写真を公開。安倍首相がトランプ大統領を覗き込んでいるような構図をアップで掲載しています。

カナダ

G7のホスト国カナダは、トルド首相のカメラマンのツイートから。右上の写真では、腕組みするトランプ大統領の横に立ち、首脳やスタッフを見つめています。AFPの記事は「この写真は今年のG7議長国であり、また伝統的に平和維持活動に尽力してきたカナダにふさわしく、トランプ氏と他の首脳を対等な存在として公平に捉えている。」とまとめています。

発信主体も、首脳、スタッフ、政府によるものと異なります。フランス、イタリアは首脳のツイッターアカウントから、ドイツは首脳のインスタグラム。アメリカ、ドイツ、カナダはスタッフから。

日本は首相官邸のアカウントで、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムから発信。安倍首相はツイッターとインスタグラムで発信、フェイスブックでは首相官邸の写真をシェアしています。細かいことですが、このような発信主体の違い、ソーシャルメディアの使い分けも、各国の戦略を読み解く重要な視点になります。

ジャーナリスト

徳島新聞社で記者として、司法・警察、地方自治などを取材。NTTレゾナントで新サービス立ち上げや研究開発支援担当を経て、法政大学社会学部メディア社会学科。同大学院社会学研究科長。日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)代表運営委員。ソーシャルメディアによって変化する、メディアやジャーナリズムを取材、研究しています。著書に『フェイクニュースの生態系』『ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか』など。

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