『シグナル』最終回の結末と同じく気になる日韓コンテンツ交流のこれから
坂口健太郎主演ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)が、いよいよ本日で最終回を迎える。
このドラマが韓国ドラマのリメイクであることは以前にも紹介したが、ここまでオリジナルへのリスペクトあふれる作品になるとは思っていなかったというのが、正直なところだ。
主役の三枝健人を演じた坂口健太郎もさることながら、吉瀬美智子が演じた桜井美咲も印象的。韓国オリジナル版では、韓国芸能界の“セクシー&ゴージャス”の代名詞とされるキム・ヘスが女刑事チャ・スヒョン役に扮していたが、吉瀬美智子が演じた先輩刑事・桜井美咲も素晴らしかった。
6月8日からは韓流チャンネルKNTVにてオリジナル版が放送開始されたということで、「韓国の『シグナル』が気になる」という方にはぜひとも観ていただきたい。日本版では時間の都合上カットされた事件や描写など、より濃密な『シグナル』の世界を堪能できることだろう。
それにしても、リメイク版とはいえ韓国発のコンテンツが日本で反響を呼ぶ昨今の状況は、感慨深いものがある。
近年、日本と韓国では多くのドラマや映画のリメイクが増えており、いずれも好評を得ている。日本では『HOPE〜期待ゼロの新入社員』や『ごめん、愛してる』がそれで、韓国では『Mother』や『リッチマン、プアウーマン』といった日本ドラマがリメイクされているのだ。
(参考記事:まずは『Mother』が口火を切る!! 今年、韓国でリメイクされる日本のドラマ&映画とは?)
そんなドラマ・リメイク交流だけではなく、日本では“第3次韓流ブーム”なるものが巻き起こっているとされているが、 “第3次韓流ブーム”はこれまでの韓流ブームとはやや趣が異なる。
以前の韓流ブームが「韓ドラ」「K-POP」などに集約された一点集中型だったとすれば、“第3次韓流ブーム”と呼ばれるそれは、同時多発的。
K-POPを始め、食べ物、ファッション、コスメなど、さまざまなジャンルの韓国コンテンツがあちこちで話題となり、消費されている。昨年にはTWICEとチーズタッカルビが「JC・JK流行語大賞2017」の各部門で1位にもなっているが、それだけ “韓流”を消費する層が若年化・多様化しつつあると言えるかもしれない。
(参考記事:日本の女子中高生がハマる韓国コンテンツとは? 2018年に“クールコリア現象”は起こるのか)
また、以前は「ヨン様」「グンちゃん」といったひとりのスターが韓流ブームを盛り上げた印象だが、今は違う。スターではなく、コンテンツそのものが人気を博すようになっている印象だ。
端的な例が4月14日に日本で公開された韓国映画『REAL リアル』だろう。人気韓流スターであるキム・スヒョンの兵役入隊前・最後の映画主演作ということで話題を呼んだのだが、ストーリー展開や演出への評価は厳しく、興行的にも大きな成功は得られなかった。
このことについて、韓国のスポーツ新聞『スポーツ京郷』は、「『シグナル』と『リアル』に見る最近の韓流」という記事でこう分析している。
「映画『リアル』が日本で公開されたのは“韓流スター、キム・スヒョンの出演作”という理由、それだけだった。だが、キム・スヒョンという看板だけでは足りなかった。今やスターを中心としたコンテンツが、かならずヒットするという時代ではない」
確かにその通りかもしれない。話題のTWICEも、誰か1人がブレイクしたわけではないのだ。9人のメンバーたちが一心不乱に披露するパフォーマンスと楽曲が、コンテンツとして愛されているのだろう。現在は「個」よりも「チーム」というわけである。
今後、ドラマ『シグナル』やTWICEのような韓国コンテンツが日本に発信され続ければ、韓流はブームを超えて日本の新たな文化コンテンツとして定着するかもしれない。すでにアメリカなどでは韓国ドラマやBTS(防弾少年団)などが人気で、新たなムーブメントになる兆しもあるという。
(参考記事:坂口健太郎主演の『シグナル』に『グッド・ドクター』。世界で韓国ドラマのリメイクが続く理由)
『シグナル』の成功によって、ますます弾みをつけそうな日韓コンテンツ交流。その先に何があるのか、今後も注視していきたいところだ。