9年前のドラフト全体6位が30歳目前にようやくメジャーデビュー
4月11日、タイラー・ジェイ(ニューヨーク・メッツ)は、8回裏のマウンドに上がり、そこから2イニングを投げた。計5本のヒットを打たれ、1点を取られたものの、最後はマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)から三振を奪い、試合を終わらせた。
ジェイは、2015年のドラフト全体6位だ。ミネソタ・ツインズに指名された。だが、これまで、メジャーリーグで投げたことはなかった。4月19日に、30歳の誕生日を迎える。
順調に歩んでいれば、ローテーションの一角を占めるか、アンドルー・ミラーのようなリリーバーになっていたかもしれない。ミラーとジェイは、どちらも、快速球とスライダーをメインとする左投手だ。ドラフト順位も同じ。ミラーは、2006年のドラフトで、デトロイト・タイガースに全体6位指名を受けた。
だが、好酸球性食道炎を患い、2020~21年は投げることなく、2022年から独立リーグへ。昨年の夏、メッツとマイナーリーグ契約を交わした。
メジャーデビューはしたものの、ここから、メジャーリーグで投げ続けることができるどうかできるかどうかは、まだわからない。4月10日にジェイが昇格した際は、前日にメジャーデビューしたデドニエル・ヌニエスが、入れ替わりにAAA降格となった。ヌニエスが2イニングを投げたため、メッツは、10日に投げることができるリリーバーとして――10日の試合は雨天順延となり、9月26日に組み込まれた――ジェイをブルペンに加えた。
ちなみに、40人ロースターの枠は、千賀滉大を15日間の故障者リストから60日間の故障者リストへ移して空けた。40人のメジャーリーグ・ロースターが、千賀→ジェイ。26人のアクティブ・ロースターは、ヌニエス→ジェイだ。
なお、2015年のドラフトでジェイの前に指名された5人、ダンズビー・スワンソン(当時アリゾナ・ダイヤモンドバックス/現シカゴ・カブス)、アレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)、ブレンダン・ロジャース(コロラド・ロッキーズ)、ディロン・テイト(当時テキサス・レンジャーズ/現ボルティモア・オリオールズ)、カイル・タッカー(アストロズ)は、いずれも、入団から5年経たずにメジャーデビューした。
彼らのうち、スワンソン、ブレグマン、タッカーは、オールスター・ゲームに2度ずつ選出されている。スワンソン、ロジャース、タッカーは、ゴールドグラバーだ(スワンソンは受賞2度)。5人のなかで唯一人の投手であるテイトは、2021~22年に、2シーズン続けて60試合以上に登板している。