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オリックス・新コーチの入来祐作氏。「ホークスジュニア」のコーチは本大会まで継続

田尻耕太郎スポーツライター
来季からはオリックスのユニフォームを着る(筆者撮影)

 2021年シーズンからオリックス・バファローズの投手コーチに就任することが決まっている入来祐作氏だが、本年末に行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2020」には福岡ソフトバンクホークスジュニアの一員としてベンチ入りする。

 入来氏は2019年シーズンまでの5年間、ソフトバンクのファームで投手コーチを務め、今年度は球団スタッフとして野球振興・普及に従事。子どもたちへの指導などを行ってきた。その中で、今年16回目を迎える「12球団ジュニアトーナメント」に出場する福岡ソフトバンクホークスジュニアのコーチにも名を連ねている。

「本当に突然だったので、オリックスから最初にお話を頂いた時は驚きました」

 投手コーチ就任のオファーが届いたのは11月中旬に差し掛かる頃。今の仕事を始めてまだ1年足らず。そして、確かなやりがいも感じていた。即決は出来なかった。

 だが、ソフトバンクが快く送り出してくれたこと、さらにオリックスが年内まではホークスジュニアやアカデミーで従事することを理解してくれたこともあり新天地に赴く決意を固めた。

「提案」して「一緒に考える」

 ホークスジュニアの選手たちは小学校6年生の総勢16名。女子選手も2人いる。「ピッチャーでは球の速い子もいるし、これから先が楽しみな選手もいますよ」と入来氏も目を細める。選手に寄り添いながら熱心に指導を行う姿は、プロ野球コーチ時代と重なるものがあった。

先日、現ホークスジュニアと昨季チーム(現中学1年生)との交流試合が行われた。左半分が現在のチーム(筆者撮影)
先日、現ホークスジュニアと昨季チーム(現中学1年生)との交流試合が行われた。左半分が現在のチーム(筆者撮影)

「人に教えたり伝えたりするのは、子どもたちもプロも同じだと思うんです。やってみて改めて気づいたというか、初心に返ることができました」

 ソフトバンクのファーム時代から多くの若手投手に慕われていた。その理由の一つが「一緒に考える」という指導方針だった。アドバイスというよりは「提案」に近い。しかし、優しいだけではない。途中で投げ出してしまいそうになる選手には愛情を持って厳しく接した。それに救われた選手が何人もいた。現在はソフトバンクを離れた教え子たちも、いまだに入来コーチの名前を口にする。東京ヤクルトスワローズの長谷川宙輝や米・ドジャースのマイナーに所属する北方悠誠(今季はBCリーグ栃木でプレー)がそうだ。

 計6年間在籍したソフトバンクへの最後の恩返しをするべく、今目指すのはホークスジュニアの日本一だ。前回優勝が2009年。チームは11年ぶり2度目の頂点を狙う。

入来祐作(いりき・ゆうさく)

1972年8月13日生まれ、宮崎県都城市出身。右投右打。PL学園-亜細亜大-本田技研(現ホンダ)を経て1996年ドラフト1位で巨人に入団。

即戦力として中継ぎの一角を担い1年目から57試合に登板。プロ5年目はエース格として先発でシーズン2完封を含む13勝を挙げた。2003年オフに井出達也(現ソフトバンク2軍外野守備走塁コーチ)とのトレードで日本ハムに移籍。2006年から2シーズンはニューヨーク・メッツ傘下の3Aなど海外でプレー。2008年は横浜入りしたが、その年限りで現役を引退した。日本通算215試合35勝35敗3セーブ、防御率3.77。

引退後は横浜球団のスタッフとして用具係などを務め、2015年から4年間ソフトバンクで二軍や三軍の投手コーチを歴任した。2020年はソフトバンク球団のスポーツ振興部に属して「野球塾」などで指導。そして福岡ソフトバンクホークスジュニアのコーチも務めている。

来季からオリックス・バファローズの投手コーチに就任。主にファームの若手を指導する予定。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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