Yahoo!ニュース

【台風5号】12日に東北上陸か…雨・風のピークはいつ?経験ない大雨に線状降水帯発生も:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
台風5号による大雨・暴風・高波・高潮の見通し(仙台管区気象台HPを元に作成)。

台風5号は12日、宮城県または岩手県に上陸する可能性がかなり高くなってきました。
宮城も岩手も、それぞれ統計史上まだ1回しか台風が上陸したことがなく、東北太平洋側全体でもこれが史上3回目という現象です。

台風5号の予報円(気象庁HPより)。
台風5号の予報円(気象庁HPより)。

線状降水帯の発生予測情報も発表され、東北新幹線の運休のおそれもあると報道される中、いつ何に気をつけるべきか解説します。

雨は台風の中心付近で強くなるわけではない

11日から12日にかけての予想降水量(気象庁HPより)。
11日から12日にかけての予想降水量(気象庁HPより)。

東北の地形では特に台風中心の北側で雨の量が多くなりやすく、たとえ宮城県の上陸したとしても最大の降水量が出るのは岩手県である可能性が高いです。

そのため、上図で24時間で最大300ミリと書かれているのは、岩手県の沿岸部に関する予想になります。
たとえ宮城に上陸しても岩手に上陸しても、岩手県内で降水量が多くなりやすいということです。

ただし、そもそも東北ではふだんから台風が上陸しにくく、太平洋側では梅雨の降水量もさほど多くないため、最大値の300ミリが出る地域でなくとも平年の1か月分の雨に匹敵して災害が起きるおそれは高いです。

また日本海側でも大雨が予想されていて、場所によっては先月の梅雨末期豪雨と同じくらいの雨が再び降るおそれもあるため、台風が上陸するのが太平洋側だからと言って油断できません。

線状降水帯の発生予測情報(気象庁HPより)。
線状降水帯の発生予測情報(気象庁HPより)。

さらには、線状降水帯の発生予測情報も出されていて、線状降水帯が発生した場合は上記の予想降水量を超えてくるおそれがあります。
最悪の事態を想定して、今日11日の明るいうちに避難経路を確認したり、必要なものを買い終わっておく必要があるのです。

ピーク時の風は立っていられないレベル

風の強さと吹き方(気象庁HPを元に作成)。
風の強さと吹き方(気象庁HPを元に作成)。

今回、東北で予想されている風は、基本的に外に出るのが危険なレベルです。

台風の暴風が吹き荒れる中では、道に落ちている空のペットボトルが飛ばされただけでも命に関わるような危険性があるため、本記事の冒頭の図で暴風警報が予想されている時間帯は、できるかぎり外に出ないようにしてください。

避難所に行くべきか行くべきでないか先に確認を

実は毎年、台風や梅雨による豪雨の際、安全な家から出てしまったことで被災してしまう人がいます。
一部の専門家は「能動的被災者」と呼んでいるのですが、自宅が安全な場所だと知らずに避難所に向かったケースや、「たぶん大丈夫」と油断して出かけてしまったケースなどが考えられます。

自宅がどのくらい危険な場所かどうかは、事前に調べておきましょう。
各自治体が出しているハザードマップで見てもいいですし、インターネットで「重ねるハザードマップ」と検索すると、Googleマップのように自宅周辺を簡単に確認できます。
自宅にいた方がよいと判断した場合は、必要な量の水・食料や電池などを明るいうちに用意しましょう。

なお、ハザードマップでは小さい川の想定浸水域が描かれていないことがあります。
小さい川の場合、川より低いところにある家は浸水するおそれがありますので、川に橋が架かっている場合はおおむね橋の付け根の高さより低い場合は浸水することを想定して行動してください。

また土砂災害については、住家がないところは警戒区域に設定されないため、ハザードマップで色が塗られていない道でも、山や崖、斜面に沿った道は雨が激しくなったらできる限り通らないようにしてください。

※筆者のプロフィールからフォロー(リンク先の「+」のボタン)していただくと、日々の天気や、テレビではなかなか話せない気象予報の裏側を書いた記事を逃さず読むことができます。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

植松愛実の最近の記事