そろそろお花見の季節ですね。八王子市内の隠れ花見スポットの一つである「長池公園」へ行こうとお考えでしたら、まずは歴史について押さえておくと、楽しみ方がより広がるでしょう。ご家族やお友達に知識を伝えたら、「すごい！」と尊敬されるかも？

長池公園は、市の東部・由木地域に位置する自然保全型公園。公園北側には広々とした芝生広場と長池見附橋、人工の「姿池」があります。その奥にあるのは里山の環境。長池・築池の2つの溜池と広大な雑木林が保全されています。

園内に生育する植物は約800種。早春のカタクリから、ヤマザクラやマメザクラなどの桜、夏には市花・ヤマユリや希少種のサワギキョウなど、四季折々の自然を楽しめます。

こちらは、公園の名前の由来となった「長池」。特別保全ゾーンとして一般の立ち入りが禁止された区域にあります。面積約2000平方メートル、水深1～1.5ｍ。この池には古くから「浄瑠璃姫伝説」と言う悲しい言い伝えがあります。

ゆかりがあるのは、今から遠く8世紀前半の聖武天皇の時代、大磯の海で三日三晩光り続けた末に引き上げてられた「薬師如来像」。鎌倉時代末期にこの薬師如来像を譲り受けた相模の城主・岡崎四郎が、「子が授かるように」と日夜この像を拝み続けて生まれたのが、浄瑠璃姫でした。

成長して武蔵国・小山田高家の側室となった浄瑠璃姫。薬師如来像を父から譲り受けて嫁ぎました。ところが小山田高家は戦いで討死。浄瑠璃姫は薬師如来像を背負って侍女らと共に城を落ち延びたものの、逃げきれないと悟って長池に身を投げたそうです。その後、長池の下流部にある蓮生寺の住職が「光るものがある」と気付いて薬師如来像を拾い上げました。蓮生寺は1182年創建と、八王子市に現存する最古の寺。住職は像を持ち帰り、堂を建てて供養したということです。（「長池伝説」の説明板より）

そんな悲しい言い伝えが残る長池を中心に広がるのが、現在の長池公園なのです。そして、こちらの写真で中央に写っているのは、公園造営時に人工的に造られた姿池です。その右手には…

自然のままに保全されている「築池」があります。ここからの流水を、姿池に引き込む仕組みになっています。

その姿池にかかるこちらの長池見附橋、見るからに趣がありますよね。1913年に建設された四谷見附橋を移築復元したものなのです。上路式鋼製アーチ橋で、八王子八十八景のひとつになっています。

実はこの橋、下から見た様子が圧巻！細部まで美しく造り込まれた姿は、現代の橋ではなかなか見ることができないのではないでしょうか。幼児や小学生も思わず見とれる美しさがあります。

橋が移築される経緯や当時の写真も掲示されており、見ごたえがあります。

姿池の端まで来ると、そこからは「せせらぎ緑道」。池からの清流が流れ心休まる小道です。日陰も多く、暑い日でも自然の涼しさを味わえます。

私も子どもを連れてよく散歩しますが、何度訪れても自然の中に新しい発見があって、子どもも私も飽きずに楽しめるスポットになっているところです。

イベントが多いのもこの公園の魅力。3月31日（日）には、芝生広場でプレーパークがあります。その頃には園内のあちらこちらで春の花が咲き誇り、遊びながら華やかな自然を楽しめそうです。八王子冒険遊び場の会についての過去記事はこちらです。

近くにおいしいお店が多いのも長池公園の魅力。例えば、芝生広場からもっとも近いこちらの「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」。教会も備えた結婚式場ですが…

一般向けのフランス料理レストランが隣接しています。本格的なコースだけではなく、気軽に楽しめるテイクアウトのランチボックスやソフトクリームなどもあり、私も子どもを連れて何度も利用しては、優しいスタッフの方々からあたたかなもてなしを受けてきました。

ところがこちらの「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」、実は6月30日に閉店することが決まっています。長年愛されてきた素敵な場所がなくなるのは本当に悲しいことですが、閉店前に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

この他、園内にあるこちらの「長池公園自然館」でも、福祉作業所などで丁寧に作られたパウンドケーキなどが販売されています。

こちらは無添加・国産小麦使用のココアアーモンドクッキー。実はこの日はほとんど売り切れてしまっていて、職員の方に伺うと「毎週金曜日に入荷しますよ」とのことだったので改めて金曜日に訪れると…

いろいろな種類のお菓子と出会うことができました！

自然館の前には飲み物の自動販売機やテーブル・イスがあります。買ったお菓子をここでいただくこともできますよ。

こちらは自然館の中。「だれでもトイレ」やおむつがえスペースも完備されているので、安心して利用できますね。

館内には、高畑勲監督のサインも。その理由を知りたい方は、ぜひ館内の常設展をご覧ください。

駐車場は二カ所。自然館を訪れたい時は北側の方を利用するといいですよ。花見に歴史散策、グルメにイベントと楽しみ方がいろいろある長池公園。ぜひ一度足を運んでみてください。