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withコロナ時代の登山ハイキングは? ちょっとだけの山登りで後悔しない5つのポイント

加藤智二日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン
良く晴れた日曜日 パパ待ってよ! ※写真はすべて筆者が撮影

 長く続く自粛やリモートワークなどによって、運動量が減ってきています。日本各地で人の動きが再開されているニュースも目にするようになって、そろそろ身体を動かそうかな、とお考えの方も増えてきました。

 山登りを趣味としていない方も涼風が吹き抜ける緑の山道や高原になら出かけてみたいと思うのではないでしょうか。太陽の日差しを浴び、ゆっくり歩く登山ハイキングは心と身体をリフレッシュします。初心者から経験者までwithコロナ時代の登山ハイキングのポイントをご紹介します。

家族で楽しい車山高原からは360度の大展望が楽しめます。
家族で楽しい車山高原からは360度の大展望が楽しめます。

 遠くの有名スポットまで行かなくても、住んでいる街の近くにも素敵なところがあります。なまった身体がビックリしないよう、ご近所の寺社仏閣の杜や公園から始めてみましょう。そして、1時間ほど電車で移動すれば緑いっぱいの山の麓に行けることでしょう。それがコンパクトで交通網が発達した日本列島の良いところです。

田んぼのある景色は心が落ち着きます。
田んぼのある景色は心が落ち着きます。

 楽しいハイキングにするためのポイントを5つご紹介します。

 1:家を出る前に確認しておく健康状態です。過去2週間以内に感染を疑われるような場所や行動に心当たりがある場合、感染を疑われる症状の方はアウトドアスポーツは避けることが大切です。セルフチェックする症状は「発熱・喉の痛み・咳が長引く・強いだるさ・味覚/嗅覚異常」です。詳細は医療機関や政府機関の最新を参考にしてください。

一人ひとりができる新型コロナウイルス感染症対策は?

出典:首相官邸 新型コロナウイルス感染症に備えて

 2:マスク着用に関してです。山道で人と人との間隔を開けて同じ方向に向いて歩いているときの飛沫感染リスクは小さいといわれています。小さいのであってゼロではないことはお断りしておきます。これからの時期はマスク着用による熱中症リスクの方が高くなります。熱中症で救助要請することは遭難することと同様に避けたいことです。

 では、山歩き中にマスクなどで口元を覆う場面はどの様な場面でしょうか。  ⇒ ハイカー同士が接近する集合時、渋滞時はお互いの距離に注意を払う場面です。また近い距離ですれ違う、追い越されるなどの時は「飛沫を含んだ空気」を吐き出さない&吸い込まないために、マスクやタオルで口元を覆うなどがエチケットです。

 3:登山中の健康管理は最も安全に直結することです。小まめな水分・ミネラル・栄養補給に心掛けます。いずれも口を通じて取り入れるものですから、歩きながらはなかなか難しいものですが、次のような工夫をするのが良いでしょう。

 小まめな休憩+αとは  ⇒ αは水分・ミネラル・栄養補給や衣服調節です。休憩したタイミングで必ず行うようにしましょう。小分けしたお菓子や水分を多く含むゼリーなどを取り出しやすい場所に入れておくと便利です。

ぎらつく太陽光線、日焼け防止と衣服調節が大切です。
ぎらつく太陽光線、日焼け防止と衣服調節が大切です。

 4:小まめな休憩をとりいれましょう。立ち止まって心拍数を落ち着かせる小休憩(立ち休憩)から、衣服調節のための5分程度の休憩、お昼ご飯を食べる長休憩などがあります。長引いている自粛生活などで歩くことが減っているため、自分が考えている以上に筋肉をはじめとする運動能力が低下しています。小さな休憩を積極的にとるようにしましょう。季節の植物や生き物、心を打つ景色に足を止めてみると新しい喜びも感じることができるので一石二鳥です。

山上の池には初夏の風物ヒツジグサが白い花を咲かせています。
山上の池には初夏の風物ヒツジグサが白い花を咲かせています。

 5:歩く速さはいつもより大幅に遅くしましょう。そのためには早朝に出発し、短めの行動時間で早めの下山を心がけたいものです。運動習慣の減少と暑い夏が同時にやってきたのです。このタイミングで身体に強い負荷をかけるのは避け、体力を下山まで温存させます。

 ゆっくり歩くことで生まれた心の余裕は地図の確認による道迷い防止や危険個所の早期発見にもつながります。家族や仲間は安心感を感じ、楽しい!と感じることでしょう。何よりもゆっくり歩くと様々な種類の自然が眼に飛び込んでくるので興味が尽きません。

ゆっくり歩いて、じっとしていたら宝石が舞い降りました。
ゆっくり歩いて、じっとしていたら宝石が舞い降りました。

生涯にわたって老若男女が楽しめるスポーツが山歩きです。これから始まる暑い夏、新しい生活様式に頂上を目指さないお散歩ハイキングを追加してみませんか。

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン

ネパール・パキスタン・中国の8000m級ヒマラヤ登山を経験。40年間の登山活動で得た登山技術、自然環境知識を基に山岳ガイドとして活動中。ガイド協会発行「講座登山基礎」、幻冬舎「日本百低山 日本山岳ガイド編」の共同執筆。阪急交通社「たびコト塾(山と自然を学ぶ)」、野村證券「誰でもできる健康山歩き」セミナー講師。山岳・山歩きに関するテレビ番組への出演・取材協力。頂上を目指さない脳活ハイキングの実践。神戸市須磨区カルチャー教室講師、一般社団法人日本山岳レスキュー協会社員、公益社団法人日本山岳ガイド協会 安全対策委員会・登山ガイド育成学校委員会 担当理事、日本プロガイド協会所属 山岳ガイドステージⅡ。

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