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「“心の土下座”は毎日してきました」。アイドルとお笑い、オンリーワンの二刀流「つぼみ大革命」

中西正男芸能記者
「つぼみ大革命」の吉岡久美子(左)としより

吉本興業が手掛けるアイドルユニット「つぼみ大革命」のしよりさん(26)と吉岡久美子さん(28)。2010年の結成から10年以上が経ちますが、3月3日にはセカンドアルバム「最強つぼみDX」がリリースされるなど着実に前に進み続けます。吉本興業のアイドルという他にない道のりを歩んできましたが、その中でつかみ取ったものとは。

吉本興業のアイドル

吉岡:2020年4月で結成から丸10年が経ちました。今で11年目。そう考えると、長くやってきたなぁとも思います。

でも、感覚的には、すごく早いというか、ずっと同じことをしてきたわけではなく、1カ月ごとに違うことをやってきたくらいの充実感というか、もっとストレートに言うと、バタバタ感(笑)。濃い時間を過ごしてきたことは間違いありません。

しより:濃いことは、本当に間違いありません(笑)

吉岡:最初のCDを出すまでに結成から4~5年。ま、その時点で、なかなか“苦難の道”感が出てるかとも思いますけど(笑)、出せた時はとにかくうれしかったですね。

今、丸10年以上経って、改めて「つぼみ―」の個性を見つめ直すと、それはやっぱり吉本興業のアイドルということなんですよね。

私たち自身は、灯台下暗しというか、そこにあまり気づいてなかったんですけど、年月が経つほど、そこの色も強くなってくる。

さらに、外に出て他のアイドルグループさんと一緒になる機会も増えて行く中で、徐々に「あれ、私たちって、いわゆる普通のアイドルとはかなり違うんやな」ということに気づいてきたといいますか。

しより:タネが蒔かれた土地が吉本興業という“畑”だったので、その時点で、他の作物とはかなり違う生育をしてきたと思うんです。

吉岡:まずね、シンプルに声が大きい。ちょっとしたトークの声も、完全に“舞台声”というか、声を張ってますもんね。

あと、私たちの大きな軸に“笑い”があります。

「アイドルがお笑いなんて、本気でやってないでしょ」

「アイドルの笑いなんて、面白いわけがない」

そんな声もたくさんいただく中、そうならないように、積み重ねをしてきたつもりです。

自分たちのコンセプトというか、軸を大切にしてきた結果、2019年に女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」でも決勝に行くことができた。

イベントに来ていただく方々に楽しんでもらうために必死にやってきたことが、いつの間にか“武器”になってたのかなと思えた瞬間でした。

自分たちで動く

しより:そもそも、私たちの場合は、衣装や曲ももともと用意されているわけではなく、それも自分たちで調達する。それが当たり前の環境でやってきたので、そういう全体的な「野性の力」みたいなところも今となっては武器になってるのかもしれません。

吉岡:衣装も、自分らのツテを最大限に活用して、自分らで作る。歌詞も、専門家に依頼するお金がないから自分らで必死に考えて書く。

基本的に、自分たちが動いて、自分たちで作ってきました。自給自足です(笑)。

しより:「こういう衣装を作りたいんだけど、そういう縫製をやってる友だちとか誰かいない?」みたいな感じで、本当に人の繋がりでやってきました。

吉岡:もちろん、アイドルとして譲れない部分はあるんですけど、余計なプライドはゼロだと思います。「お願いします!」という“心の土下座”は毎日してきました(笑)。

しより:実際、チケットも、お客さんに来てもらいたいけど、まだまだ売れてないとなったら、いわゆる“手売り”をします。

道行く人に「もしお時間ありましたら、絶対に面白いことをしますので見に来てください」と言ってチケットを買ってもらってきました。

吉岡:もちろん、大変なことではあるんですけど、手売りをやってるんで、チケット一枚、お客さん一人の重みがすごくあるんです。

しより:私たちの中に、お客さん一人一人へのドラマがあるので、客席を見ていると「あ、買い物中に引き留めて買ってもらった人や」とか思い入れがあるんですよね。

客席の端から順番に、どこでどんなやり取りをして買ってくださった人か、全部言っていけますもん。そうなると、手の振り方一つにしてもポーズじゃなくて本気ですから。本当に感謝しかない中でやるステージはいろいろと気持ちが乗っかると痛感しています。

20年に向けて

吉岡:次の大きな節目は20年ですか。

10年前の自分たちは、今の自分たちの姿を全く想像できてませんでした。なので、あと9年やって20年を迎えた時、どうなっているか、これは分からないですね。

でも、もっと面白いグループになってるとは思います。20年の頃には味が出るというか、味しかないだろうなと(笑)。

せっかく9人いるので、それぞれがそれぞれにしっかり活躍して、いろいろなものを集めてきて、そして、集まった時に「つぼみ―」としてすさまじいパワーを発揮する。

それが理想だと思いますし、そうなるよう、みんなが頑張らないといけない。それを一日一日積み重ねていきたいと思います。

…最後だけ、なんか真面目にまとめたみたいな感じになってスミマセン(笑)。

(撮影・中西正男)

■つぼみ大革命(つぼみだいかくめい)

2010年4月に発足した吉本興業の女性アイドルユニット。19年3月に旧ユニット名「つぼみ」から「つぼみ大革命」への改名を発表する。改名の意図は、歌とダンスと映像とコントが融合した新しい形のライブでアイドル界に革命を起こすという思いから。現在のメンバーは杉山優華、松下千紘、吉岡久美子、しより、樋口みどりこ、恵梨華、糸原沙也加、岡本りん、水森依音の9人。3月3日は2枚目のアルバム「最強つぼみDX」をリリース。「つぼみ大革命東西ツアー 最強つぼみDX」(4月29日東京・品川インターシティーホール、5月14日大阪・なんばHatch)も開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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