リアルヤンキーたちを救うのは身近な大人しかいない。暴れる彼らの傍らに「頼れるヒトミさん」はいるか
●今朝の100円ニュース:中学に侵入してガラスなど壊す(中日新聞)
いま、日本人のヤンキー化を指摘する論評が盛んだ。ここでの「ヤンキー」とは、ひきこもりではないけれど狭い範囲の地元から出たがらない若者たち全般を指す。違法行為に走る昔ながらの不良とは違うようだ。
しかし、愛知県にはリアルヤンキーが残存している。夜中の学校に忍び込んで窓ガラスを壊して回ったり、盗んだオートバイで走り出したり……。今朝の中日新聞によれば、豊橋市内の高校には尾崎豊の詞を地で行くような不良少年たちがいるらしい。
同じく東三河地域にある我が蒲郡市も負けてはいない。毎晩のように暴走族たちの爆音が聞こえる。住み始めた頃はいちいち起きて腹を立てていたが、最近は「火の用心」のような感覚で聞いてそのまま眠りにつくようになった。「昔はヤンチャをやっていた」という大人が今では良き家庭人かつ立派な職業人になっていたりするので、不良少年たちがちょっとうるさいぐらいは我慢できるのかもしれない。
しかし、本当に放ったらかしにしておいたら、不良少年たちは「半グレ」のような粗悪な成人になってしまう。最終的に彼らを救うのは、親や教師をはじめとした身近な大人しかいないと思う。深い愛情と理解を持ちながら厳しく叱ってあげる大人が傍らにいれば、いつかは感謝と恩返しのために立ち直るだろう。
昨年、僕はその実例と愛知県西尾市で知り合った。同市の教育委員会に生徒指導アドバイザーとして雇われているヒトミさんだ。生徒指導アドバイザーとは、暴走族などに入ってしまった非行少年・少女たちと密接に関わり、彼らに救いの手を差し伸べる仕事。ヒトミさんは警察OBたちに交じりながら働き、抜群の成果を上げている。
ヒトミさん自身も少女時代は「超ヤンキー」だった。ずっと見放さなかった教師に支えられ、出産を機に更生してからも学校の手伝いをするとは思ってもみなかったという。抜擢した西尾市教育委員会の英断に拍手を送りたい。
「見放した子はひとりもいません。問題は子どもにではなく、家庭にあるからです。絶対に、すべて、家庭の問題です。中学生の子どもの顔を週に1回ぐらいしか見ないという保護者もいます。家庭がしっかりしていたら、ヤンチャをやった子どももすぐに家に帰って来るものです」
インタビューをしたとき、ヒトミさんが確信を込めた言葉で語ってくれたのを思い出す。親も大変な状況にあることも多いので、運動会の日はヒトミさんが弁当を作ってあげたりすることもあるという。その味を不良少年たちはずっと忘れないだろう。
「私は学校が嫌いでした。子どもの頃は憎しみの対象でしかなかった。先生に対する不信感で問題を起こしたことも数えきれません。でも、そんな私の相談に乗ってくれて、背中を押してくれたのも学校の先生なのです。不思議だな……」
豊橋の不良少年たちの近くにも、ヒトミさんのような大人がしっかりと付いていることを願うばかりだ。