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3/26開幕!タイトルに向けて火花を散らす、なでしこリーグ1部全10チームのキャプテンが集結。

松原渓スポーツジャーナリスト
なでしこリーグ1部全10チームのキャプテンが集結した(C)松原渓

プレナスなでしこリーグ2017がいよいよ3月26日に開幕(2部の2試合は25日に開催。3部に相当するチャレンジリーグは4月16日に開幕)する。

開幕まで10日あまりとなった3月14日、東京都内で開幕前記者会見が行なわれた。

会場では、なでしこリーグ1部の全10チームの監督とキャプテンが登壇。今シーズンの目標や意気込みを、各チームのキャプテンが熱く語った。

「3連覇を目指します」

そう力強く宣言したのは、昨年、リーグ2連覇を達成した日テレ・ベレーザ(以下:ベレーザ)のキャプテン、岩清水梓だ。昨年は登録メンバー18名全員が年代別の代表経験者で構成され、少数精鋭でリーグカップとの2冠を達成したが、メンバーのケガによる戦力低下の可能性は常に不安材料としてつきまとった。

今シーズンは下部組織の日テレ・メニーナから昇格した選手も含め、登録人数は昨年から微増(+3人)。主力の顔ぶれは昨年と変わらず、リーグ2年連続MVPのボランチ・阪口夢穂を中心とした完成度の高いパスワークで、昨シーズン同様に得点を量産することが期待される。3月上旬になでしこジャパンが出場したアルガルベカップに7人、U-23ラ・マンガ国際大会に3人の選手を送り出すなど、主力の多くが代表活動で抜けていたこともあり、開幕に向けて急ピッチで準備を進めている。

ベレーザの連覇に立ちはだかるのは、昨年の皇后杯の覇者であり、昨シーズンリーグ2位のINAC神戸レオネッサ(以下:INAC)だ。今季は新入団選手8名を迎えたが、FW大野忍やMF中島依美、杉田妃和らを中心に、攻撃陣の顔ぶれに昨年から大きな変化はない。松田岳夫監督の下で3年目を迎えるチームは、そのサッカーを象徴するハードワークをベースに、連携の成熟度を高めている。昨年は終盤の13節から、皇后杯も合わせると10連勝と勢いを見せており、松田監督も「優勝しか考えていません」と自信を見せる。

次の上位候補は、昨年も含め、過去6年間の皇后杯で4回の準優勝を誇りながら、未だタイトルを獲得したことがないアルビレックス新潟レディースだ。今年こそ、「シルバーコレクター」からの脱却を図りたい。

新潟という土地柄、冬は雪が積もり、グラウンドが使えない時期が長いが、守備ラインを統率するキャプテンの中村楓は、「そのことをハンデにするのではなく、プラスに捉えたい」と話す。大きなグラウンドが使えない分、狭いスペースでパスワークを向上させ、雪の中で走ることによって、足腰の強さが身につくという。昨年はリーグ戦と皇后杯でベレーザを破るなど、確かな力を示しながら、リーグ5位と振るわなかった。毎年スロースターターの傾向があり、序盤の戦い方は今年も課題。攻撃を牽引するベテランMF上尾野辺めぐみとFW大石沙弥香の2人にタイトルを掲げてもらいたいという気持ちは、チーム全員の総意だ。 

昨シーズン、1部昇格1年目ながら3位と躍進し、リーグ最多の観客動員数(ホームゲーム9試合で32826人、平均して3647人。2位はINAC神戸レオネッサで、1試合平均2821人)を誇ったAC長野パルセイロ・レディースは、今年も上位進出が期待されるチームの一つだ。「目標はトップ3」(本田美登里監督)と控え目だが、縦に速く、アグレッシブなサッカーは、昨シーズン数々のドラマを生んだ。今シーズンはチームの得点源でもあるFW横山久美に対して他チームの徹底した対策が予想される中で、チームの攻撃パターンを増やすことを目指し、一方で失点を減らす守備面の強化も進めてきた。昨年からはコンディショニングコーチの元でフィジカル面の強化も進めており、個人で局面を打開できる選手が増えれば、より攻守に安定感が生まれるはずだ。

マイナビベガルタ仙台レディースは、今シーズンから指揮を執る越後和男新監督の下、悲願の初タイトルを狙う。160cm台後半〜170cm台の選手が揃い、高さ、速さ、パワーはリーグ随一。1月以降は、選手間のコミュニケーションと攻撃面の強化に取り組んできたという。越後監督は攻撃面の具体的な変化については明確な返答を避けたものの、これまでのカウンターやセットプレーだけではなく、今季はボールをつなぐ攻撃にも取り組んでいると話した。また、2016年のAFC年間最優秀選手に選ばれたオーストラリア代表FWケイトリン・フォードを獲得するなど、攻撃陣の顔ぶれは近年になく充実しており、得点力が向上することは間違いない。

昨年8位と下位に沈んだ浦和レッドダイヤモンズ・レディースは、石原孝尚新監督の下、育成年代代表にコンスタントに選手を輩出しているユースチームからの昇格組に加え、14年、15年と2年連続でリーグ得点女王を獲得したFW菅澤優衣香が加入。各ポジションで熾烈な競争が繰り広げられているが、チームの雰囲気は良く、「優勝した2014年に似ている」と、MF猶本光は自信を見せる。石原監督は「選手の成長を大切にしながらも、攻撃的なスタイルで優勝を目指したい」と、新体制で2014年以来のタイトル奪還を狙う。

昨シーズン6位の伊賀フットボールクラブくノ一は、シーズン後半から指揮を執ることになった野田朱美監督の下で、以前の守備重視のサッカーから、攻撃的なサッカーへと変貌を遂げつつある。4年間キャプテンを務めたMF那須麻衣子が引退し、新キャプテンには攻撃を牽引するオールラウンダー、MF杉田亜未が指名された。守備を牽引する、対人プレーに強いDF宮迫たまみや、高いテクニックを持つMF櫨(はじ)まどからを中心に、攻守のバランスと連携の成熟が待たれる。ヘッドコーチの種田香織(元岡山湯郷ベル監督)、主務の原歩(元日本女子代表)ら、プレーでも指導面でも経験豊かなスタッフの存在もプラス要素となる。

昨シーズン、リーグ7位のジェフ市原・千葉レディースは、なでしこリーグカップで準優勝しており、一発勝負に強さを見せた。チームスピリットでもある「走力」を活かしたハードワークと組織的な守備が徹底されており、左サイドの深澤里沙を中心とした攻撃力にさらなる期待がかかる。得点源であったFW菅澤優衣香が抜けた穴は大きいが、キャプテンに抜擢されたDF上野紗稀は、「菅澤選手がいなくなってしまったことで、チーム全体でやらなければいけないという意識が強くなって、全員攻撃、全員守備が意識づけられ、新しい攻撃の形ができている。今シーズンの目標は二桁勝利」と力強く語った。多彩なテクニックとアイデアを見せるMF成宮唯をどう活かすかもポイントになる。

チーム創設6年目にして1部初挑戦となるノジマステラ神奈川相模原は、創設当初からチームを率いる菅野将晃監督の下、パスを主体とした攻撃的なサッカーで1部リーグ定着を目指す。常に主導権を握るスタイルで、昨年は2部で47得点6失点(18試合)と他を圧倒したが、今シーズンは押し込まれる時間帯をどうコントロールするかが鍵となりそうだ。早い段階で1部のプレースピードや球際の強さに慣れ、チームの特長を活かせるようになれば、上位進出の可能性も十分ある。

ちふれASエルフェン埼玉は昨年2部で2位になり、入れ替え戦で2勝して、2年ぶりの1部昇格を果たした。ここ5年間で2度の2部降格を経験しており、昨年は昇格を目指しながら、1部定着のための土台作りも同時に進めてきた。2度の1部復帰を牽引したMF伊藤香菜子と、FW荒川恵理子のベテラン2人が移籍したが、チーム11年目のMF薊理絵(あざみ・りえ)、前線の鈴木薫子らを中心としたホットラインは健在。守勢に回る時間が長くなることも予想されるが、少ないチャンスを活かし、接戦をものにできるか。日テレ・ベレーザとの開幕戦は、内容と結果によってはチームに勢いをもたらす重要な試合となる。

以上の10チームにより、今シーズン、1部は2回戦総当たり(全18節・90試合) で優勝を争う。

1部の10位と2部の1位が自動入替となり、1部リーグの9位と2部の2位はホーム&アウェイの入替戦を実施。勝者が残留、または昇格となる。

日程はこちら(一般社団法人日本女子サッカーリーグ)

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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