高級ファッションブランドがSNSスタンプ戦略を加速 遠い存在から親しみあるイメージへ
ラグジュアリーブランドが「SNSアカウントを作るべきか」という論争は遥か昔に終わり、今は「いち早くSNSの新機能に対応して話題性を作っていくか」が問われている。SNSの登場でブランドとファンの距離感は縮まったが、ユーザーのその時のエモーションやシチュエーションを代替する絵文字のようなスタンプをはじめとしたブランドのエフェクト機能が登場したことで、より一層と"身近"な存在になった。これにより、今までは「商品が高くて買えなかった」ユーザーが無料または数百円支払うだけでスタンプを使えるようになりブランドに親しみを持つことができた。なぜラグジュアリーブランドはSNSスタンプ戦略を実施するのか?
2018-19年秋冬ミラノ・コレクションの発表とあわせてリリースした「プラダ(PRADA)」は、「Instagram Stories」で利用できるGIFアニメーション(パラパラマンガのような動きのある画像)を本国主導で発表。ファッションショーにも登場したアイコニックなモチーフを採用することで商品との連動性を図った。
また、「フェンディ(FENDI)」はホリデー・コレクションのインスピレーションソースでもある遊園地をモチーフにするなど、いずれも最新コレクションと連動させてブランドロゴを使用しているのが特徴だ。SNSスタンプが増えている理由の一つは、このような事前告知の施策に適しているからだ。物理的にキャンペーン商品の発売日よりスタンプの方が速くリリースできるデジタルならではの施策と言える。
ミレニアル世代はテキストを読まないからスタンプ戦略が重要
フェンディ・ジャパンの広報は本施策について「ミレニアル世代への認知度向上、親和性高くリーチするため、コミュニケーションツールとして日本で最もアクティブユーザー数の多い『LINE』を選びました。そのためクオリティー(クリエイティブ)面で本国にサポートを受けながら日本で主導しました」というように語り、ローカライゼーション戦略を行っている。
また、スタンプ広告を実施した理由に「ミレニアル世代はテキストを読まない傾向にあると実感しています。今回実施した『LINE』のエフェクト(スポンサードエフェクト)というコンテンツは、どのブランドでも実績がなく『革新的』や『FUN』といった、『フェンディ』のDNAをミレニアルズに伝えるために、言葉を超えたコミュニケーションとして実現可能であり、ブランドの世界観を楽しく表現できると考えたため」としている。
そこで、「LINE」の広報にスポンサードスタンプについて問い合わせると「ユーザーの約9割がなにかしらのブランドなどのプロモーションスタンプをダウンロードしております。ダウンロード後の変化として、25%のユーザーが『スタンプをきっかけに企業や商品を知った』、12%のユーザーが『スタンプをきっかけに好感度や親近感が増した』という調査データが出ています」と答えており、企業名・商品認知向上に効果的であることが数字の面でも表れている。
世界中のファッション&ビューティブランドが力を入れている「ミレニアル世代」の獲得。テキストを読まない傾向にある彼らとコミュニケーションを取るのにスタンプは最適だ。そのため、今は一部のサービスでしか使えないが、あと3〜5年もすればほとんどのサービスでブランドが公認したSNSスタンプを使える日が来るかもしれない。