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藤井聡太七段(17)5連覇中の詰将棋解答選手権 コロナウイルス感染防止のため本年開催中止

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 今年も3月29日に開催が予定されていた詰将棋解答選手権ですが、新型コロナウイルス流行のため、運営側の判断により、中止のやむなきに至ったようです。

 このご時世ですから仕方のないことなのでしょう。それでもやはり残念です。

 難解な詰将棋をどれぐらい速く正確に解くかを競うこの大会は、2004年に第1回が開催されました。

 第1回の優勝者は宮田敦史四段(現七段)でした。これは当時、ごく順当な結果と受け止められています。「スーパーあつし君」と呼ばれる宮田七段は奨励会員の頃から、詰将棋の解答が尋常ではなく速いことは業界内では有名でした。

 宮田七段の超人的な能力は、競技の場で見事に示されました。以後しばらくの間、大会は宮田七段の独壇場となります。2007年に宮田七段の名がないのは、病気で欠場したためです。宮田七段の優勝は全部で6回。最近でも常に上位にその名を見せています。

 回を重ねるにつれて、大会参加者も次第に増えてきました。アマチュアでも実力さえあれば、棋士や奨励会員と同じ土俵で対等に戦えます。そして多くの方が上位に進出しています。以下は棋士=赤、奨励会員=緑、アマチュア=青で示した表です。

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 2014年に優勝した若島正さんは別格の存在で、超一流の詰将棋作家でとして知られています。

 棋士では谷川浩司九段、北浜健介八段、船江恒平六段など、詰将棋作家としての顔を持つ棋士も多く参加して好成績を収めています。

 若手棋士の斎藤慎太郎現八段は2回の優勝を誇っています。

 斎藤三段(当時)が初優勝を飾ったのは2011年。ちょうど東日本大震災の直後でした。この時は東西で別々に成績がつけられての優勝でした。翌2012年には元の開催スタイルに戻り、そこで斎藤三段は優勝となりました。四段昇段後の活躍は周知の通りです。前回2019年大会で2位となった際には「王座」の肩書でした。

 現在の詰将棋界のスーパーヒーローといえばもちろん、藤井聡太七段です。

 2014年、藤井七段がまだ小5の時、東京会場で北浜健介七段に藤井少年のことを「天才ですか?」と尋ねると、「天才です」と即答されました。棋士は才能を見る目は大変シビアなため、こういう評価がされることは、めったにありません。

 2015年、史上最年少の小6で奨励会二段の時に、解答選手権で初優勝を飾っています。

 以後の驚異的な大活躍については、改めてこれ以上触れる必要もなさそうです。

 藤井七段が5連覇を達成した昨年2019年大会のチャンピオン戦は、東京、大阪、名古屋の3会場を合わせて、約百人の参加でした。

 今回の中止は、運営側、出場選手、観戦するファン、いずれにとっても残念なことでしょう。また今後、平常に開催されることを祈ります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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