アップル、5月14日世界100ヶ国で新アプリ『AppleTVアプリケーション』の提供を開始
KNNポール神田です。
□アップルは(2019年5月)14日、新しい「Apple TV」アプリを公開。様々な動画配信サービスを「Apple TVチャンネル」としてアプリ内で購読でき、iTunesのコンテンツも利用可能。150以上のビデオアプリの人気番組や映画を、1つのアプリでまとめて提供する。iPhone、iPad、Apple TVのほか、一部のSamsung製スマートテレビで利用可能。14日から100カ国以上で提供する。
■2019年5月14日(火)、世界100カ国で『Apple TVアプリケーション』がリリース
5月に発表が予定されていたAppleTVアプリケーションが日本でもリリースされた。今ままでの『Apple TV』とはHDMIに接続されたハードウェアのセットトップボックスだったが、この『Apple TV』は、ソフトウェアのアプリケーションである。iOS tvOSのアップデート(iOS 12.3、tvOS 12.3)により ストリーミング再生が可能となる(AirPlay 2経由)。
■実際に早速インストールしてみたが…
とりあえず、ウェブで『Apple TV アプリケーション』のページにいくと…iOS 12.3のアップデートを要求される。
https://www.apple.com/jp/apple-tv-app/
『iOS 12.3』のアップデートを 【設定】【一般】【ソフトウェア・アップデート】で終了し、再び、『Apple TV アプリケーション』のページからインストールした。
アップデートすると、これまでの『ビデオ』アプリが『Apple TV』に置き換わる。今までの『ビデオ』との違いはなにか?コンテンツをアプリ内で直接購入できることくらいしか思い浮かばない…。
■『Apple TV』を、 iPhoneと iPad mini で比較してみる
ハードウェアのApple TVはHDMI接続されたAppleTVで視聴するものだったが、『Apple TVアプリケーション』では端末でも、テレビでもマルチプラットフォームで再生できるアプリとなった。
iPhoneでの見え方
iPad mini での見え方
同じ比率でのレイアウトなので、iPadや mac OS(今秋対応予定)などのディスプレイは大きいほうが良いだろう。Apple TVへのAirPlay2 経由のコントロールもありだろう。
■ここが残念!映画の購入とレンタルしかできない!
『10万本以上を揃える映画の全カタログと最大規模の4K HDRタイトルのセレクションをApple TV Appで購入またはレンタルが可能』と謳われるが、今秋登場予定の『Apple TV+』のオリジナル作品のサブスクリプションもなく、日本でも期待していたテレビチャンネルの『Apple TV channels』の日本での採用は現在はなく、『映画』の購入とレンタルボタンしか見当たらないのだ。
つまり、500円以上支払わないと、何も視聴できない。いや、予告編視聴アプリとしてしか利用できないのか…?
■なんと、『AmazonPrimeVideo』に『送客』している!
2500円の金額購入に500円のレンタル…しかないとつまらないので、探すと500円以下の『ベストムービーベストプライス』というのを見つけた…。しかし、ここでも100円でのレンタルと相変わらずだが、無料で視聴できる作品『IN TIME』と『イントゥ・ザ・ストーム』を見つけた…。
これは、『AmazonPrimeVideo』でも視聴できたなぁと思いながら、視聴ボタンを押すと、なんと、『AmazonPrimeVideo』が起動し『AmazonPrimeVideo』の『IN TIME』が視聴できるようになったのだ…。
■Appleの全方位型の検索型の『プラットフォーム戦略』に驚く!
『AppleTVアプリケーション』のプラットフォーム戦略は、『iOS』『tvOS』『 macOS(今秋以降)』において、ユーザーがサブスクリプションしているカタログを『AppleTVアプリケーション』のアプリ内に包含し、Appleユーザーがこのアプリを起点として、それぞれのサブスクリプション契約しているプラットフォームへと『送客』するという機能を持ったアプリケーションだったのだ。
つまり、個々のサブスクリプションアプリを立ち上げてコンテンツを選ぶのではなく、『AppleTVアプリケーション』を立ち上げて、サブスクリプションコンテンツをまとめて検索し、視聴時にのみ必要なサブスクリプションアプリを立ち上げるのだ…。この全方位検索型の斬新な『プラットフォーム戦略』を貫けるのだ。
さすがだ!個別のサブスクリプションサービスは、それぞれを排他的競争で差別化するが、Appleは、OSメーカーとしての幅広いAppleユーザーにプラットフォームとしての『AppleTVアプリケーション』の場を提供しながら、Appleブランドの『Apple TV channels(日本は未定)』『Apple TV+(今秋対応)』を同時に傘下で提供しようとしているのだ。…ということは、『Disney+』も拒絶する理由はまったくなさそうだ。
YouTubeのプラットフォームの中でさえ、公式の『Apple TV』のチャンネルを作り、『Apple TV channels』のパートナーチャンネルを紹介するという全方位型のプロモーションも展開している。
https://www.youtube.com/channel/UC1Myj674wRVXB9I4c6Hm5zA
■『旧作映画』購入とレンタルの皮をかぶった『コンテンツアグリゲーター』だった
今は、単なる『旧作映画』の』購入とレンタルしかない『AppleTVアプリケーション』だが、サブスクリプションモデルの『コンテツ・アグリゲーター』にもなり得る。いや、むしろ、近い将来、封切りをした新作映画でさえも、劇場公開から少し遅れて、『AppleTVアプリケーション』で配給することもできる可能性をも秘めている。
さぁ、これに対して同じOSレイヤーを持つ、『Google』はどんなプラットフォーム戦略を選択するだろうか?
さらに、気になるのは日本の『ソニー』は、『プレイステーション』や『ソニー・ピクチャーズ』コンテンツを保有するのにこの市場に対して、指を加えているだけなのだろうか?
成熟しすぎた20世紀コンテンツの映画やテレビ産業、そして新興のNETFLIXや、YouTube Premiumのようなサブスクリプションモデル。21世紀のコンテンツビジネス戦争のラインナップがさらにはげしく5G時代を迎えようとしている。