雲で知ろう 厳しい冬の訪れ
山東半島付近にすじ状雲、全国的に寒さが厳しくなる兆し。九州上空には11月中旬としては2008年以来の非常に強い寒気が予想され、18日夜以降、雪やみぞれが降るおそれがある。
まるで川の流れのような雪雲
空気に色が付いていたら、どんなにか便利でしょう。突き詰めれば天気予報は暖かい空気と冷たい空気を予想すること。暖かい空気は強い雨を降らせ、冷たい空気がやってくれば、気温が下がり、雨から雪に変わります。でも、自然の空気は無色透明、想像するしかありません。
そんなとき、ひまわり8号の雲画像はさまざまなことを教えてくれます。表紙の雲画像は18日(土)正午の雲の様子です。2つの低気圧に伴う厚い雨雲がかかり、日本列島はほとんど見えません。雲が北へ盛り上がって見えることから、南から暖かい空気が流れ込み、低気圧が発達していることがわかります。
一方、中国北部の山東半島から九州の西にかけて、一面にすじ状の雲が広がっています。
すじ状の雲は冷たい空気と暖かい海の温度差で発生する雲で、寒気の吹き出しが強ければ強いほど明瞭に現れます。これからの季節はこのあたりに注目してみましょう。日本海西部ほど暖かくないので、寒気がより強いとき、まるで川の流れのような雲がみられます。
九州でも雪やみぞれが降る?
18日夜から本格的な寒気が西日本に流れ込むでしょう。寒気の強さをみると、九州北部(福岡)の上空約1500メートルでマイナス6度以下です。これは平年と比べ9度くらい低く、11月中旬としては2008年以来9年ぶりの寒気です。
9年前を天気ノートで振り返ってみました。当時も山東半島付近にすじ状の雲が現れ、福岡では平年よりも24日早く初雪が降りました。翌日は東京地方にはシーズン初の乾燥注意報が発表され、12月中旬には早くもインフルエンザが流行するなど早い冬の訪れが影響したようです。
寒気を可視化する
寒さを知る方法はもうひとつあります。それは天気図の左上にある高気圧です。18日午前9時の地上天気図を見てみましょう。
北京の北には中心気圧が1044ヘクトパスカル(以下、hPaと書く)の高気圧があります。冬は太陽の光が弱く、凍てつく大地が広がる大陸には冷たい空気による優勢な高気圧ができます。天気図の左上の強い高気圧は寒さのサインです。
天気図の等圧線は1000hPaを基準に4hPa毎で書く約束になっています。そのため、中心気圧は偶数で、高気圧は切り捨て。つまり「1044hPaの高気圧」という場合、実際の中心気圧は1044hPaより少し高いのです。ちょっと残念に思うのは中心気圧が書いていない天気図が多いことです。
【参考資料】
永沢義嗣,1995:中心気圧は偶数だけ?,天気図の散歩道,日本気象協会,1-3.