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WBOミニマム級王者、初防衛戦まで1カ月

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 昨年12月14日にウィルフレド・メンデスを11ラウンド1分8秒で下し、WBOミニマム級チャンピオンとなった谷口将隆。4月22日の初防衛戦まで1カ月となった。

 リング生活最高のパフォーマンスで世界王者となった谷口だが、試合の映像を見直すと、反省点ばかりが目に留まると語る。

 「満足出来たのは、勝利した直後の一瞬だけでした。自分の動きを見れば見るほど、"いらないパンチをもらってしまった"とか"ここは、外さないといけないよな"と感じるんです。そういう課題点を克服する作業で気が引き締まりますけれど。また日々、練習のなかで気付きがあるんですよ。まだまだ自分は発展途上だと感じています」

撮影:筆者
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 挑戦者である石沢開とは2019年9月21日に日本ミニマム級王座挑戦者決定戦で拳を交え、判定勝ちしている。世界タイトルを懸けての再戦となるが、「リターンマッチは早過ぎる」「新鮮味のあるカードではない」という声も上がっている。

撮影:筆者
撮影:筆者

 谷口は言う。

 「石沢選手は自信満々ですよね。プロデビュー以来、唯一の敗北の相手が僕で、リベンジの機会を窺っていたでしょう。ですからメンタル面も技術面も、物凄く充実していると思います。

 僕自身、世界を獲るまでに3回負けていますが、敗北って学ぶことが山程あるんですよ。新しい自分を感じるんです。自分は、黒星を生かして強くなってきましたから、良く分かります。石沢は今、熱意を僕に向けて調整しているでしょう。

撮影:筆者
撮影:筆者

 前回の対戦で、僕は5ラウンドにダウンを喫しました。右クロスだったかな。石沢の拳には僕を倒した感触が残っている筈です。あの右を当てるべく、工夫してくるでしょう。勝算があるからこそ挑戦してくる訳です。だからこそ、こちらも全ての面で挑戦者を上回りたいですね。

 パンチのある選手ですし、闘志満々でしょうから警戒はしていますが、差を見せ付けたいです。自分はスタンスやアングル、距離感、ポジショニングなど、細かく修正しながらトレーニングしています。調子は非常にいいですよ。スパーリングはトータルで120ラウンド位になる予定です」

 奪うよりも守る方が難しいとされる世界タイトル。追われる身となった谷口は、自身のテーマ一つ一つと向き合いながら、己を追い込んでいる。勝利の女神は、どちらに微笑むか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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