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access キャリアとセンスで磨き上げる“ブランド力”  恒例の春ツアーで感じた圧倒的な“強さ”

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
Photo/田中和子(CAPS)

改めてaccessという“ブランド”の強さを感じた夜だった――5月18日新木場STUDIO COASTで、エレクトロ・ダンスミュージックユニットaccessの春の恒例のツアー『access ELECTRIC NIGHT 2019』を観た。2017年に25周年を迎えたaccessは、常に最先端のテクノロジーを取り入れ、ポップスをダンスミュージックとして昇華させ、新しいシンセポップを奏で続けている。そういう意味で、accessは、伝統と革新性を持続させ、顧客(=ファン)からの支持を得続けている“ブランド”だ。

その日限りのエレクトロニック・セッションが魅力の“エレナイ”

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この恒例のツアーは、バンドを従えず、浅倉大介と貴水博之によるエレクトロニック・セッションというワクワク感とスリリングさがたまらない。二人は枠にはまらずに、自由に音楽を奏で、ファンはそれにひたすら身を委ね、襲い掛かってくる音の熱に熱狂する。音のマジックに酔う。浅倉がリアルタイムで楽曲をリミックスし、貴水がそれに応え、ボーカル、パフォーマンスを披露する。センスとキャリアが成せる業といえばそれまでだが、浅倉がどんな音の波を繰り出そうとも、それをキャッチし、歌で返し、そのパフォーマンスでファンはもちろん、浅倉をさらに刺激して、熱いパフォーマンスにつなげる貴水のボーカリストとしての凄さを、改めて感じる。

楽曲にリミックスという名の“リノベーション”を施し、ファンを熱狂させる

オープニングの「Only the love survive」から、「24sync」「EDGE」まで、ファンをしても一瞬わからないくらいの、「今回はそう来ましたか!」とうならせるリミックスの連続で、新曲にさえ聴こえてしまう。「Let me go」や「PINK JUNKTION」なども同様、ほぼ原形をとどめない“リノベーション”とでもいいたくなるほどの、緻密さを覆う自由さ。観客はその自由な熱に巻き込まれ、ノる以外の選択肢はないという、嬉しい状況だ。

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泣きのメロディが印象的な、ポップな「Tragedy」のイントロでは歓声が沸き、「S」では二人が扇子を持ち、客席を煽る。「ELECTLIC☆NIGHT」は太く、重い低音が体中に響く。そこから一転、清涼感さえ感じる「Especially Kiss」へとつなぎ、このメリハリという名の振れ幅の大きさに心を揺らされ、そして掴まれるのではないだろうか。これはこのライヴ全編を通しての大きな流れで、ここに、変わらない二人の緩いトークも含まれるが、緊張感とクールさ、緩さで、押したり引いたり、グッとひきつけたり、観客はたまらない感情が沸いてくる。

仮タイトルも歌詞もない、未完成の新曲を“博(之)語”で披露

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浅倉の繊細なピアノの音色が流れ「Knock beautiful smile」のメロウな世界の中で、観客は泳ぎ、そのまま浅倉の<DJ mix>へと突入し、音の洪水の中でさらに泳ぐ。ユニット結成のきっかけとなった「COSMIC RUNAWAY」では、客席のテンションはさらにあがる。この日は「ツアーが始まって、平成から令和に時代が変わる瞬間を音にした。現在進行形の曲」(浅倉)と、まだ未完成の、歌詞も仮タイトルもない新曲を“博(之)語”で披露するという、嬉しいサプライズ。新旧の楽曲が同列に並んでも、全く違和感も時代感も感じないのがaccessの強さであり、未完成の曲を聴くことができるのも、自由な“エレナイ”ならではだ。

貴水がスタンドマイクを手にして歌い始めた「Dream Runner」はロック調でスタートしたのち、別の熱さを湛えたテクノへ完全に姿を変え、「FIND NEW WAY」と続き、歌とサウンド、そしてミラーボールの眩い光で客席を煽る。「JOY TRAIN」でまさに熱狂の時間に突入し、「MOONSHINE DANCE」で大合唱が起きる。「Grateful Circle」で再び音の大洪水で客席を巻き込み、本編は終了。

アンコールは先述の新曲からスタートし、「1000年の誓い」は、浅倉のキーボードと貴水の歌、そして客席の歌だけで作り上げる特別な世界。感動的だった。ディープなリミックスの「JULIET」で再びこのライヴ、この夜の“意味”を突き付ける。ラストは「LOOK-A-HEAD」で、熱すぎる一夜は終了。とことんマニアックでどこまでもポップで、その場にいる全ての人に多幸感で包むこの世界は、accessの二人、浅倉の音楽と貴水のボーカルパワーでなければ成立しないと、見せつけられた。秋にはこのツアーとは対となる、バンド編成によるホールツアーの開催も発表された。

2002年に行われた、2つのツアーの熱狂ライヴを収録した、2枚組アーカイブBD/DVD BOXを発売

『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』(6月26日発売<BD>)
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』(6月26日発売<BD>)
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』(6月26日発売<DVD>)
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』(6月26日発売<DVD>)

また、6月26日には2002年に行われた2つの熱狂のライヴ映像を収録する、2枚組アーカイブBD/DVD BOX『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』が発売される。Disc1は2002年春に約7年ぶりに行われたツアー「access TOUR 2002“CROSSBRIDGE”」の、東京国際フォーラム公演を収録した、「access TOUR 2002 CROSSBRIDGE LIVE at TOKYO INTERNATIONAL FORUM」(オリジナル発売日2002.8.21)、Disc 2は同じく2002年8月に行われた日本武道館公演を収録した、「access LIVE SYNC-ACROSS 2002“SUMMER STYLE”LIVE at NIPPON BUDOKAN」(オリジナル発売日2003.3.19)となっている。Blu-rayは今回初めてHDリマスター化される映像に加え、音声も2ch、5.1ch共にリマスタリングを行い、圧巻の臨場感を味わえる映像作品となっている(DVDには今回ラッシュアップされた映像と音声を収録)。さらに、オリジナルと同じく、マルチアングルも収録。2002年のLIVEの写真を満載した特製ブックレットも封入される完全生産限定盤だ。

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access ソニー・ミュージックオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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