百人一首を旅する(#1)秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
旅行歴500泊、関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。
昨年の大河「光る君へ」やNHK「ブラタモリ」、TBSの「海に眠るダイヤモンド」に登場し、注目を集めているのが百人一首。このシリーズでは旅に結び付けて、わかりやすく解説します。
#1 秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の 苫をあらみ わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ
儀明の棚田(新潟県十日町市)
越後湯沢駅からほくほく線で、まつだい駅へ(※)。1日4本のバスで向かう儀明(ぎみょう)の棚田の秋の風景です。
新潟県十日町市は、市といっても森林が約7割を占める山深い場所。温泉(芝峠温泉、松之山温泉)も湧く、景色が美しい場所ですが、なぜか穴場観光地となっています。
※正確には六日町駅発だが、JR越後湯沢駅直通便がある。
#1 秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の 苫をあらみ わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ
(意訳)秋の田のほとり、間に合わあせの小屋の天井は編み目が粗く、私の服の袖(そで)はだんだんと露に濡れてゆくばかりです。
(作)天智天皇
百人一首は、風景を差し出して心情を歌う、いわば写メール手法(写真に短文を添付)で歌われた和歌が多いです。
しかし第1首は風景のみを示しており、単純なようで、解釈が難しい歌です。
一般には、秋の静寂を詠んだ歌と考えられています。
実は作者は不明で、天智天皇なら農民の心がわかるといった前提で、天智天皇の作とされたとも考えられます(諸説あり)。
覚えておくと自慢できるポイント
「~を…み」は、~が…なのでの意味となります。苫をあらみは、植物を編んだ布の目が粗いので。瀬をはやみなら、川の流れが速いのでとなります。
和歌を知ることで、旅をより深めることができます。
(参考文献)原色 小倉百人一首/文英堂
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