小池都知事の公約「満員電車ゼロ」はどうなった? 初当選時は「2階建て電車」が話題に
東京都知事選挙が6月20日に告示され7月7日に実施される。小池知事は2016年の初当選時の公約に「七つのゼロ」を掲げていた。「満員電車ゼロ」はその中の1つだった。当初は総2階建て電車の導入により公約達成を図るという話が各所で話題となったが、実際にはどのような対策が取られたのだろうか。
実際にはソフト面での取り組みを実施
小池知事が「満員電車ゼロ」の公約達成に向けて実際に取り組んだのは、ソフト面での対応で、時差通勤・通学の呼びかけだった。2017年から18年にかけて「時差Biz」が、19年からは「スムーズビズ」が展開された。これらは都内への通勤者へ時差通勤を啓発するキャンペーンで、併せて都内の企業へ時差通勤制度とテレワーク制度の導入が呼びかけられた。都内で電車を運行する鉄道事業者へも協力を求めた。これらの政策の名称は、小池氏が環境大臣だったときに話題となった「クールビズ」にあやかったという。
「スムーズビズ」の取り組みの一環として2019年8月に、小池知事は鉄道各社の社長・鉄道事業本部長や学識経験者を集め、「これからの混雑緩和方策についての知事と鉄道事業者の意見交換」を開催した。しかし、この意見交換については「鉄道各社がそれまで行ってきた混雑緩和に対する取り組みを、電車に普段乗らない小池知事へ説明をするだけの会に過ぎなかったのではないか」という指摘もあった。
さらに、ある有識者は「仮にピーク時の30%が時差通勤や時差通学をしたとしても200%の混雑率が140%になるだけで満員電車はゼロにはならない。さらに鉄道各社にとっては売上増にもつながらず一方でピーク前後の電車を増発しなければ通勤・通学客をさばき切ることができなくなるため、かえって鉄道各社の業績悪化にもつながりかねない」と指摘する。
さてさて、小池知事が再選されたら「満員電車ゼロ」の公約の行方はどのようになるのであろうか。
(了)