GSOMIA「破棄」が「撤回」を上回る! 韓国の最新世論調査結果
米国も巻き込む形となった日韓懸案である日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は韓国政府が翻意しなければ、今月22日深夜をもって終了することになる。韓国が日本に通告した破棄の発効期限まで残り2週間となった。
傍観の構えの日本と違い、日米韓3か国安全保障体制維持の必要性から米国はスティルウェル米国務次官をソウルに派遣し、撤回するよう説得を試みているが、韓国政府は「日本がホワイト国除外など一連の経済制裁措置を撤回しない限り、破棄の方針を変えるつもりはない」として依然として強硬姿勢を崩していない。
来週(14日)にはエスパー国防長官がソウルで開催される第51回米韓安保協議会に出席するため訪韓し、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と共に最後の説得を試みるものと思われるが、文在寅大統領が説得に応じるのか、それとも、撥ねつけるのか、国際的な関心を集めそうだ。
破棄に踏み切れば、最大の同盟国である米国との関係悪化は必至だ。防衛負担問題や貿易問題、さらには米韓が協調して対応している北朝鮮問題にも悪影響を及ぼしかねない。
一方で、米国の圧力に屈する形で破棄を撤回すれば、文政権の支持率低下に繋がる恐れもある。
(参考資料:GSOMIAを破棄すべきか、撤回すべきか 苦悩する文大統領の選択は!?)
韓国の世論調査会社「リアルメーター」は昨日、GSOMIA破棄の賛否を問う世論調査の結果を発表した。
今回の調査はタイでの日韓首脳対話から2日後の6日に全国有権者8,595人を対象に行われたものだが、結果は「このまま破棄すべき」が48.3%、「撤回すべき」が37.6%と、「破棄すべき」が10.7%上回る結果となった。(「わからない」が14.1%)
しかし、その差は3か月前の8月に韓国のTV「YTN」が行った調査よりも縮まっていた。韓国政府が破棄を決定(8月23日)した直後に行われた調査では「支持」が54.9%、「反対」が38.4%と、16.5%も開いていた。
世代別で20代は50.1%vs39.2%、30代は48.7%vs37.9%、40代は65.5%vs23.7%、50代は48.2%vs40.7%となっており、意外にも40代ではダブルスコアの差がついていた。
地域別では、首都ソウルと第二の大都市である釜山・蔚山・慶尚南道及び保守地盤の大邱・慶尚北道以外の全域、また世代別では60代を除く全ての世代で「破棄」が上回っていた。例えば、仁川は53.1%vs36.4%、大田・世宗・忠清道は50.0%vs33.3%、光州・全羅道でも49.1%vs25.9%となっている。
しかし、肝心のソウルでは「撤回」56.5%に対して「破棄」43.1%と、13.4%差で、また釜山及び蔚山・慶尚南道でも44.0%vs43.5%と拮抗したものの僅かながら「撤回」が上回っていた。釜山は文大統領の地盤である。
大邱・慶尚北道に限っては「撤回」が63.5%なのに対して「破棄」は26.4%とダブルスコア以上に開いていた。
主な政党支持層では、与党「共に民主党」の支持層と進歩層では「破棄すべき」が多数を占めたが、保守層と第一野党の「自由韓国党」と第二野党の「正しい未来党」の支持層では「破棄を撤回すべき」が多数であった。
具体的には、与党支持層は84.1%vs7.2%、進歩層は71.5%vs12.2%、と「破棄」が「撤回」を圧倒したが、逆に「自由韓国党」の支持者では69.5%vs11.8%と、「撤回」が大きく上回り、「正しい未来党」でも57.8%vs39.6%と約20%近い差を付けた。
来年4月の総選挙を前に支持層を結集しなければならない時に政府与党にとって世論、特に「コンクリート支持層」の離反は痛手だけに撤回するにしても米国の圧力に屈したという形ではない、国民をある程度納得させることのできる大義名分が必要となるだろう。
文大統領の最終決断は結局のところ、世論が左右することになりそうだ。