「サムライ精神を学べ」「正直うらやましい」韓国メディアの西野ジャパン評
セネガル代表相手に2-2の引き分けを演じた西野ジャパンの戦いぶりは、韓国でも評価されている。
「日本、セネガルと引き分け“H組1位”…16強有力」(『スポーツ東亜』)、「執念と根性が違った…日本、セネガルを脅す16強進出有力」(『韓国経済TV』)といった具合だ。
サポーターのマナーも称賛
韓国は大会前にセネガルと非公開の国際親善試合を行って0-2で敗れていたこともあって、「韓国破ったセネガルを苦しめた日本の新鮮な衝撃」(『MKスポーツ』)と報じるメディアもあった。
また、試合だけでなく、「またもや光った日本の市民意識、セネガル戦後もあと片付け」(『インターフットボール』)などサポーターたちのマナーの良さも紹介されている。
韓国ではチャン・ヒョンス(FC東京)など一部の選手たちをネットで攻撃する“テックル・テロ”が問題となっているが、ピッチの内外で韓国とは対照的な姿を見せる日本の活躍は、韓国にとっても眩しく映るのだろう。
(参考記事:「代表永久除名」「刺青を消せ」はまだ序の口…FC東京チャン・ヒョンスへの批判がひどすぎる)
ユン・ジョンファン監督が認めた実力。メディアもついに
特に試合結果を報じる各メディアのヘッドラインが興味深い。コロンビア戦で大金星を飾ったときは、多分に運も働いていたという論調も多かったが、今回は違う。
「ゴールを決められても最後までしがみつく…日本サッカーが変わった」(『中央日報』)
「セネガルも苦しめた日本、コロンビア戦勝利は幸運ではなかった」(『news1』)
「放棄を知らずスーパーサブまで保有する日本、幸運ではなく実力で勝ち点4」(『スポーツ・ワールド』)としているほどだ。
コロンビア戦直後、セレッソ大阪のユン・ジョンファン監督も、「開始直後の退場は幸運だが、その過程を作ったのは日本の実力であり、賞賛に値する」としていたが、ようやく韓国メディアも「運ではなく実力」ということを認めた印象だ。
(参考記事:C大阪ユン・ジョンファン監督がコロンビア戦を分析。日本と韓国は何が違ったのか)
「本田、“日本の奇跡”の中心に立つ」
そんな中でも見出しとして多くその名が挙がっているのが、決勝ゴールを決めた本田圭佑だ。「38分プレーで1ゴール1アシストの本田、西野の選択は正しかった」(『news1』)、「日本を救った本田、ワールドカップでは“アジア最高”」(『ノーカットニュース』)などだ。
大会開幕前は韓国でも本田評は芳しくなく、「本田の起用について“時代に逆行する選択”とサッカーファンから非難の声が上がっている」と指摘するメディアも多かったが、手の平を返したように本田株がV字回復している印象だ。
スポーツ新聞『イルガン・スポーツ』も「本田、“日本の奇跡”の中心に立つ」と題した記事の中で、こう綴っている。
「全盛期を過ぎたとされているが本田の献身と配慮、そして決定的なときに一発を決める能力が、日本を上昇気流に導いている」と。
見逃せないのは、韓国の不甲斐ない状況を引き合いに出しながら日本の快進撃を報じるメディが多いことだろう。
「韓国と日本の格差が明らかになった」
例えば『電子新聞』は、「セネガルに引き分けた日本はH組1位に…F組最下位の韓国とは“極と極」とし、一般紙『国民日報』は、「日本サッカーの“突風”16強有力、韓国とは違った」と報道。
『スポーツ韓国』は、「韓国は16強を夢見るが、日本は16強を眺めている」とした記事の中で、「韓国にとっては“奇跡”に近い16強だが、日本にとっては実現の可能性が十分なシナリオだ」と報じている。
「同じ4年だったのに…日本は16強自力進出を狙う」と題した記事を報じたのは、『SPOTV NEWS』だ。
同メディアの部長やデスク、現場記者など旧知の間柄だが、「ロシア・ワールドカップで韓国と日本の格差が明らかになった」としている。もはや韓国が日本をライバルとすること自体がおこがましいと言わんばかりの論調だ。
(参考記事:【コラム】日本はもはや韓国サッカーをライバルとは思わない)
『SPOTV』だけではない。日本対セネガル戦試合終了直後、『中央日報』の記者仲間から連絡を受けが、取材協力した記事にはこんなタイトルがつけられていた。
「サムライの挑戦精神、韓国は日本を学べ」と。
韓国メディアは常日頃から日本サッカーの動向をくまなく報じ、日韓が対照的な結果になると両国を比較しながらさまざまな分析記事が出るが、今回はいつになく日本を評価する論調が多い。
そこには羨望の感情が多分に含まれている。
「日本、セネガル引き分け、同点ゴール本田はアジア最多得点記録、正直“うらやましい”」(『エナジー経済』)、「日本、2試合4得点で自力16強可能はうらやましいがきり」(『MBN』)、「うらやしい日本、貫禄の本田同点ゴール、セネガルと2-2のドロー」(『ブリッジ経済』)
うらやましい。それが韓国の率直な本音なのだろう。