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離人症とは? 離人症の治し方

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、「離人症とは何か?」というお話をしたいと思います。
離人症とは、WHO(世界保健機関)によるところの、離人・現実感喪失症侯群という心の病です。

この病に罹ると、自分が自分の肉体から離れているような感覚に陥ります。
何をしても現実感が感じられず、自分が自分でなくなったような感じを覚えます。

その状態を、「自分自身の体験が、自分から隔てられている感じがする」「自分と他人の間に、ガラス板があるような感じがする」とおっしゃるクライアントもいます。
離人症のクライアントいわく、「離人感覚は、非常に気味の悪い、落ち着かないものだ」とのことです。

このような、本人にとって異常な体験をしていながら、本人の現実を吟味する力は、衰えることがありません。大いに違和感を覚えながらも、普通に社会生活を送れるのが、離人症患者の特徴です。また、離人症患者は、通常、被害者的あるいは妄想的な認識を持ちません。それが統合失調症とは違うところです。

一般には、10代後半から20代に発症します。
40歳以上で発症することは珍しいとされています。

離人症になる原因は、本人の気質、周囲の環境によるもの、と考えられていますが、明確な発病メカニズムは解明されていません。

疲労やストレス、てんかん、脳神経疾患、薬物乱用などにより出現する場合があり、また、不安障害、気分障害、統合失調症などの精神障害と併存して出現する場合もあります。

私は、長年の臨床経験から、本人の「もうこれ以上、ストレスを感じたくない」という思いが、「自分が自分じゃない」という離人感覚に陥るのではないかと思っています。そう、離人症は、クライアントにとって、心の傷付きを防ぐ、ひとつの防衛機制ではないかと思う次第です。

ちなみに私も、離人症っぽくなったことがあります。もう数十年も前のことですが、毎日上司から怒られる日々を続けていたら、やがて怒られている自分が自分ではない感覚になってきて、怒っている上司、怒られている自分が、現実のものとは思えなくなりました。怒りの感情も悲しみの感情も沸かない状態です。今思い返すと、あれは、軽い離人症だったのではないかと思う次第です。

さて、離人症の方に対して、病院では、身体的疾患の除外と共に、「てんかんやアルコールや薬物の中毒性の障害ではないか?」という観点から病状を正確に見極めようとします。さらに、他の精神障害と重なっていないかも確認します。
「離人症かどうか?」を正確に測定する検査は、今のところないというのが実情です。

次に、治し方ですが、

他の病気もあるのであれば、薬を使うこともありますが、
離人症だけの場合は、基本、カウンセリングが主となります。

離人症のクライアントの多くは、ストレスを抱えていて、そのストレスをストレスと感じてないことが多いので、まずはストレスを自覚させることが大切です。

次に、「そのストレスをどうするのか?」一緒になって考えることが大切です。

今、非常に重要なことを言いました。
離人症の人は、ストレスを自覚することが大切
次に、「そのストレスをどうするか?」考えることが大切、ということです。

「ストレスをどうするか?」については、方法は3つです。
1.ストレスそのものをなくす。
2.ストレスをストレスと思わないよう、自分の捉え方を変える。
3.趣味に没頭するなど、ストレス解消法に励む。

誰にでも軽い離人を感じることはあるものですが、それが長く続いたり、頻繁に起こるようでしたら、お早めに精神医学に詳しいカウンセラーの許を訪ねることを、私はお勧めしたいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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