女性取締役のいない企業は罰金、米加州
米カリフォルニア州で9月30日、同州内に本社を置く上場企業に対し、取締役の少なくとも1人を女性にすることを義務付ける州法が施行された。対応の期限は2019年までで、違反企業には罰金が科せられる。同様の法律は欧州では珍しくないが、米国の州では初めて。欧米企業の間で女性登用の流れが一段と加速しそうで、この分野で遅れている日本企業は対応を迫られそうだ。
3人以上義務付けも
同法はまた、2021年までに、取締役の数が6人以上の企業に対しては最低3人、同5人の企業に対しては少なくとも2人を女性とすることも義務付ける。二段ロケット方式で女性取締役の増加を目指す構えだ。
米メディアによると、米国の代表的株価指数ラッセル3000に採用されている企業の女性取締役比率は平均18%で、5人に1人に満たない。女性取締役を置いている企業は多いが、1人だけのところが大半で、2人以上となると数は大幅に減る。
女性取締役のいる企業のほうが、収益力が高い、イノベーションが起きやすい、大きな不祥事が起きにくいなど、企業にとって多くのメリットがあることが、様々な研究で指摘されている。しかし、同時に、女性取締役の数が1人や2人だと、彼女らの意見が取締役会全体に反映されにくく、置いてもあまり意味がないとの調査結果もある。
また、女性活用を対外的にアピールするためだけに女性取締役を置いている企業も少なくないと言われる。こうしたことから、企業が女性活用のメリットをフルに生かすためには、女性取締役を複数にすべきだと主張する専門家は多い。
日本は中東並み
日本では安倍政権が女性活躍を重点政策に掲げているものの、企業の女性登用は諸外国に比べて大きく遅れている。
日本経済新聞の調査によると、日本では、女性取締役のいる企業は、上場企業全体の20.2%にとどまっている。調査した54カ国中49位で、首位ノルウェーの89.4%や中国の86.2%などに大きく水を開けられ、女性の権利が著しく制限されている中東諸国とほぼ肩を並べるレベル。もちろん主要経済国の中では最下位だ。
しかも日本企業の場合、女性は社外取締役が比較的多く、一握りの著名な弁護士や大学教授を複数の企業が「シェア」しているケースが目立つ。
機関投資家に議決権行使の助言をする米グラスルイスは、2019年から、日本の主要企業に監査役を含めた女性役員の起用を求め、女性役員のいない企業に対しては、原則、株主総会で会長や社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に助言することを明らかにしている。
企業活動のグローバル化に伴い、国境を越えて企業行動を監視・評価する動きは強まっており、日本企業も、女性を含めたダイバーシティ(多様性)の推進で、早急な対応を迫られそうだ。