ひとり旅こそこだわりたい! 「ソロ温泉」の達人が必ずチェックする温泉の4つの特徴とは?
筆者が提唱する「ソロ温泉」(=ひとりでの温泉旅)の主役は、もちろん温泉である。ひとりきりで湯船につかって、心身ともに癒やされる。
そんな温泉旅だからこそ、グループでの旅よりも温泉そのものを身近に感じることができる。温泉と向き合い、よく知るための絶好の機会でもある。
ソロ温泉では、ただ湯船につかり、心身を解き放つのが目的である。だから、温泉宿に着いたら、ただ湯につかる。何度もつかる。それに徹する。
だからこそ、長い時間をともに過ごす温泉のことをもっと知っておきたい。そう思うのは当然かもしれない。
では、温泉のことを知るにはどうすればいいか。もちろん、実際に入浴して五感で感じることが最重要であるが、もうひとつできることがある。右脳だけでなく、左脳でも温泉を知るのだ。
「温泉分析書」は温泉の説明書
私が温泉に行ったら、必ずやることがある。それは、温泉分析書を読むこと。温泉分析書とは、温泉の成分や適応症(効能)などを記した、いわば温泉の説明書。温泉法によって掲示が義務づけられており、温泉施設に行けば必ず見ることができる。
脱衣所の入口や脱衣所内に掲示されているケースが多いので、存在に気づいている人はいるかもしれない。
でも、じっくりと読み込む人は、それほど多くないと思う。細かい文字がぎっしりと書いてあって読む気にならないという気持ちはわかるが、温泉分析書の読み方のポイントを知っておくだけでも、ソロ温泉がグッと楽しくなる。
温泉の特徴を知る4つのポイント
1つ目のポイントは、「泉質」。
泉質は「炭酸水素塩泉」「塩化物泉」「単純温泉」などのように10種類に分けられるが、それぞれの泉質のおおまかな特徴を知っていると、温泉を選ぶ際の参考になる。
たとえば、「炭酸水素塩泉」であれば、せっけんのように皮膚を洗浄する効果があって、肌がツルツルになる。「塩化物泉」であれば、皮膚に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、湯冷めしにくい。
自分が入る温泉の泉質を確認することを習慣にすれば、「この泉質はこんな特徴をもっている」というのが肌でわかるようになるだろう。
ちなみに、温泉分析書の泉質名の欄には、たとえば「ナトリウム・カルシウム‐塩化物・炭酸水素塩泉」というように、温泉に主に含まれる成分が表記されている。
泉質名の付き方には複雑なルールがあって、ここでは説明しきれないが、1つだけルールを覚えておくといい。それは、「‐」(ハイフン)の右側の先頭に来る成分が、その温泉に多く含まれる主成分である、ということ(だいぶ単純化しているが)。先の例でいえば、塩化物が主成分で、「塩化物泉」の特徴が強い湯ということになる。
温泉分析書の読み方の2つ目のポイントは、「泉温」。
温泉分析書には、温泉が湧き出した時点での源泉温度が記載されている。
源泉温度が40度台であれば、手を加えることなく源泉かけ流しにできる。一方で、源泉温度が高ければ加水しなければならず、低ければ加温が必要になる。つまり、泉温は「源泉の鮮度」に大いに関係している。
泉温の高低や湧出量によって温泉の使用状況が変わってくるので、自分が入っている温泉は「ありのまま」に近い温泉なのか、それとも「個性が薄まった」温泉なのかを推測することができる。
3つ目のポイントは、pH値。
特に肌に気を遣っている人は必見である。値が7.5よりも高ければ「アルカリ性」寄りで、6.0よりも低ければ「酸性」寄り、その中間は「中性」である。アルカリ性の湯は、肌がすべすべになる「美人の湯」が多いとされる。
最後のポイントは、「溶存物質」。これは、温泉水1kg中にどれだけの成分が含まれているかを表す数値で、この値が高いほど「濃い温泉」ということになる。
目安は1000mg/kgを超えているかどうか。1000mg未満の湯は、泉質的には「単純温泉」に分類され、成分が薄めでやわらかい湯が多い。逆に、この値が高くなるほど濃厚な湯となる。
以上、かなり単純化したポイントのみを述べたが、温泉分析書は知れば知るほど奥が深いので、ぜひ泉質に興味がある方は専門書を読んでみてほしい。
温泉そのものの特徴や個性を知ることで、「泉質で宿を選ぶ」こともできるようになる。そうなれば、ますますソロ温泉が愉しく、充実したものになるだろう。