なぜ、静岡で記録的な大雨となったのか
静岡県では23日(金)夕方から24日(土)朝にかけて、非常に発達した雨雲が次々とかかり、各地で記録的な大雨となりました。静岡市ではわずか半日で400ミリを超える雨が降ったのです。
これは2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)を上回り、静岡市を襲った未曽有の水害として記録に残る1974年(昭和49年)の七夕豪雨に匹敵する大雨です。
なぜ、静岡で記録的な大雨に?
23日午前9時、紀伊半島沖で台風15号が発生しました。着目したのは湿った空気と乾いた空気の流れです。
こちらは静岡県で雨が激しく降っていた24日0時の天気図です。黄色で示したところは乾いた空気を、緑色で示したところは湿った空気を表しています。
このとき、台風15号は浜松市沖にあり、非常に湿った空気が東海地方に流れ込んでいた様子がわかります。もうひとつ北西側の日本海から乾いた空気が流れ込んでいます。この性質の違う空気が静岡県付近でぶつかり、大気の状態が一段と不安定になったことで、発達した雨雲が次々と発生したのです。
黒潮の大蛇行で、海水温も高く
もうひとつ気になったのは静岡県沖の海面水温です。この夏は晴れて猛暑が続いたため、日本近海の海面水温は過去最も高くなりました。
さらに、2017年8月から黒潮が大蛇行していて、今は静岡県の沿岸を流れています。これらの影響で、静岡県沖の海面水温は平年と比べ1度以上も高くなっています。
水温の高い海からたっぷり水蒸気を補給した空気が静岡県に流れ込んだことも記録的な大雨に関係したのかもしれません。
東京は10月が一年で最も雨量が多い月
このようなことは静岡県に限らず日本全国で起こり得ることです。例えば、東京ではこの10年間で秋の大雨が増え、とうとう一年で最も雨量が多い月は10月になりました。
今年は秋雨シーズンが長引く見通しで、東海や関東地方は来月(10月)にかけても雨が多い予想となっています。
【参考資料】
静岡地方気象台ホームページ:災害時気象資料
気象庁:全般季節予報支援資料(1か月予報)、2022年9月22日
気象庁ホームページ:海洋の健康診断表