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iPhone X、年末商戦の結果はいかに、またも過去最高を更新か?

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
中国で開催された「第4回世界インターネット大会 」開幕式に登壇したアップルCEO(写真:ロイター/アフロ)

 かつて、米アップルは、iPhoneの新モデル発売直後、その初日の予約注文台数や、最初の週末の販売台数を公表していた。しかし、「iPhone 6s」シリーズを市場投入した2015年から、そうした数値は公表していない。

 つまり、昨年(2017年)発売した「iPhone 8」シリーズと「iPhone X」の、年末商戦における販売状況を知るには、2月1日の決算発表で明らかにされるシリーズ全体の販売台数から推測しなければならない。

米国では精彩を欠く結果

 そうした中、米国の市場調査会社CIRPが、このほど、同国のiPhone購入者300人を対象に行ったアンケート調査の結果を公表し、それを米ウォールストリート・ジャーナルが報じた。

 それによると、iPhone Xが発売されてから1カ月がたった、12月3日までのiPhone 8シリーズとiPhone Xを合わせた全iPhone購入台数に占める比率は69%だった。内訳はiPhone 8シリーズが39%、iPhone Xが30%だ。

 この数値は、ここ数年における新モデルそれぞれの比率と比較し、精彩を欠くものだと、ウォールストリート・ジャーナルは指摘している。

 例えば、2016年発売の「iPhone 7」シリーズの発売後1カ月間の、全iPhone購入台数に占める比率は73%。2015年に発売した「iPhone 6s」シリーズでは、71%だった。

 そして、初めて画面サイズを大型化して発売した2014年の「iPhone 6」シリーズでは、実に91%に上った。

 10周年モデルとして市場投入されたiPhone Xについて、CIRPの共同創業者は「少し期待外れだ」との感想を漏らしている。

中国では期待大

 一方で、世界最大のスマートフォン市場である中国では、3年ぶりにデザインを変更したiPhone Xに対する高い需要があるとのデータがある。

 こちらもアンケート調査だ。調査を行ったのは、カナダの投資銀行RBCキャピタルマーケッツ。

 646人を対象にしたこの調査では、全体の62%が、iPhone Xを購入することに興味があると答えており、米国で行った調査の回答率である28%を大きく上回った。

 また、米モルガンスタンレーが、メッセージのデータ通信量から導き出した、iPhone Xの中国における利用率は、発売から16日たった時点で0.36%だった。

 この数値は一見少ないように思える。しかし、これはiPhone Xの出足が好調であることを示していると、モルガンスタンレーのアナリストは指摘する。

iPhone 6s以前のモデル利用者に期待か

 このアナリストは、中国のiPhoneユーザーの間で、iPhone Xに対する相当の繰延需要があると見ている。

 現在のところ、同端末を購入した顧客は、その大半が前モデルのiPhone 7から買い替えた人。

 このことは、iPhone 6s以前のモデルを利用している多くのユーザーが今後、iPhone Xへの買い替えを検討することを意味するという。

2月1日の決算発表で明らかに

 前述したとおり、アップルは、2月1日(現地時間)に、昨年10〜12月期の決算発表を行い、この期間のiPhone販売台数を公表する。

 同社は、iPhoneの機種別販売台数を公表しない。しかしこの決算発表で、iPhone Xのおおよその販売実績が予測できるようになる。

 ちなみに、以下が10〜12月期における過去3年のiPhoneの販売台数だ。

  • 2014年10〜12月:7446万8000台/前年同期比46%増
  • 2015年10〜12月:7477万9000台/同0.4%増
  • 2016年10〜12月:7829万台/同5%増

 いずれも、その時点の過去最高を更新している。

 また、アップルが、先の決算発表で明らかにした、昨年10〜12月期の売上高見通しは、840億ドル〜870億ドルの範囲内。

 これは、過去最高の四半期売上高を記録した1年前の実績(2016年10〜12月期、784億ドル)を大きく上回っている。

 このアップルの業績見通しが正しければ、iPhoneの販売台数はまた、過去最高を更新することになりそうだ。

(このコラムは「JBpress」2017年12月26日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報などを加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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