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木村拓哉『レジェンド&バタフライ』舞台挨拶で感じた織田信長への想いとは?

濱田浩一郎歴史家・作家

1月27日、話題の映画『レジェンド&バタフライ』(以下『レジェンド』)が公開となった。同映画は、戦国大名・織田信長とその妻・濃姫の生涯を描いた時代劇だ。信長役を木村拓哉さんが、濃姫役を綾瀬はるかさんが演じている。

私は日本中世史を専門としていることもあり、映画の公開を楽しみにしていた。そのこともあって、公開日に、丸の内TOEIで行われた舞台挨拶(18時30分の回)を観覧してきた。登壇者は、木村拓哉さん、綾瀬はるかさん、宮沢氷魚さん、市川染五郎さん、伊藤英明さん、中谷美紀さん、監督の大友啓史さんらであった。

舞台挨拶の直前には、登壇者への質問がツイッターを通して寄せられた。そして、司会者がその中から質問を選び、登壇者に問うのだ。ちなみに私は「織田信長を演じるにあたって一番大変だった事は何ですか?」という質問を記してみたが、残念ながら採用はされなかった。

他の質問の中には「信長に会えるとしたら、何か聞きたいことがありますか?」というものがあった。

そう問われた木村拓哉さんは「(信長に)映画館の席に座ってもらって、実際にこの映画を見て欲しい」ということを回答された。自分たちが懸命に作ってきた映画を、本人(信長)に見て欲しい。できれば感想を聞いてみたい。そうした想いから、そのように回答されたのだろう。木村さんの同映画への自信と思い入れを、私はこの言葉から感じることができた。

また、昨年(2022年)11月に開催された「ぎふ信長まつり」において、木村さんは信長に扮して、岐阜の街を練り歩いたが、多くの観覧者が詰め掛けたことは記憶に新しい。

その際、木村さんは岐阜城を訪問したのだが、伊藤英明さんに対し、「(信長と濃姫には)もっと長く生きていて欲しかった」というような内容を語られたとのこと。この映画の主役である信長と濃姫への熱き想いと共感というものが、その言葉からは窺えた。

『レジェンド』は東映創立70周年記念作品というだけあって、迫力満点。戦国の世の荒々しさをよく表現していたし、殺陣も素晴らしいものがあった。風景・美術・映像も美しい。ストーリーにドンデン返しがある。歴史に興味があるなしにかかわらず、多くの人が楽しめる作品になっていると感じた。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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