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ヤフオク「新紙幣」は取引OK? 規約を確認してみた

山口健太ITジャーナリスト
7月3日に発行された新紙幣(国立印刷局のWebサイトより、筆者撮影)

Yahoo!オークションにおいて、7月3日に発行が始まったばかりの「新紙幣」が出品されているとして、話題になっています。

一般に、フリマサイトで現金を出品することは規約で禁止されている場合が多いものの、Yahoo!オークションではOKとなる場合があるようです。

ヤフオク「希少価値あればOK」

メルカリや楽天ラクマなどのフリマサイトでは、「現金」を出品することは規約で禁止されています。

しかしYahoo!オークションは事情が異なり、条件を満たせば規約上は問題ない場合があることから、数多くの取引がされているようです。

実際に「新紙幣」で検索してみると開催中のオークションが373件ヒットしました。実際に新紙幣を出品しているとみられるものが多数含まれています。

多数の新紙幣が出品されている(Yahoo!オークションのWebサイトより、筆者作成)
多数の新紙幣が出品されている(Yahoo!オークションのWebサイトより、筆者作成)

注意したいのは、LINEヤフーが運営する個人間取引サイトは2つあり、2023年11月1日に「Yahoo!フリマ」(旧PayPayフリマ)と「Yahoo!オークション」(旧ヤフオク)にリニューアルしています。

このうちYahoo!フリマでは、ガイドラインで現金の出品を禁止しており、新紙幣についても同様の扱いになるといいます。これは他のフリマサイトと同じ扱いといえます。

一方、Yahoo!オークションの「アンティーク・コレクション」カテゴリ内にある「貨幣」では、日本を含む世界の紙幣や硬貨が取引されています。

LINEヤフーによれば、「紙幣の額面以上の価値を付与して出品しているものなどは、出品禁止物の対象としているが、コレクション性・希少価値が認められるものなどについては、額面以上の出品であっても認めている」(広報)とのことです。

紙幣にはアルファベットや数字からなる「記番号」が印刷されています。その並びによっては希少価値があるとされ、コレクターなどの間で額面よりも高い金額で取引されています。

紙幣に印刷されている「記番号」(国立印刷局による見本画像より、筆者作成)
紙幣に印刷されている「記番号」(国立印刷局による見本画像より、筆者作成)

その場合、「アンティーク・コレクション」カテゴリであれば、紙幣の額面以上で出品しても規約上は問題ないというわけです。

一般の利用者が新紙幣を落札する場合も、「ガイドラインの範囲内で出品されているものであれば、入札、落札しても問題ない」(LINEヤフー)としています。

気になるのはガイドラインに違反しているものの扱いですが、LINEヤフーでは「入札を控えるようお願いしている」とのこと。また購入後であっても取引中止になる場合があるといいます。

「コレクション性」や「希少価値」の基準をどこに置くかは難しそうですが、運営側はガイドライン違反の出品物を定期的なパトロールにより随時削除しているとしています。

配送方法として、一般に現金を送る方法には「現金書留」がありますが、Yahoo!オークションのシステム上は他の配送方法も選べるようです。この点は社内で確認中としており、情報があれば追記します。

追記:

LINEヤフーによれば、現金の配送方法としては「現金書留」を利用する必要があるとのこと。Yahoo!オークションのガイドラインでは以下の項目に該当するとの回答がありました。

■5. 出品者の義務(1)出品する商品等およびその出品方法等にかかる関係法令および監督官庁のガイドラインを順守しなければなりません。

また支払い方法については、このカテゴリではクレジットカードやPayPay残高が利用できないと説明されています。一般にクレジットカード会社の規約では現金化が禁止されており、マネーロンダリング対策といった理由が考えられます。

新紙幣への両替 意外と難しい?

新紙幣の発行は20年ぶりということもあり、大きな話題になっていますが、まだ入手できていない人も多いのではないでしょうか。

筆者が利用した三菱UFJ銀行の両替機では、キャッシュカードを持っていれば10枚までは無料。窓口での手数料は11枚から500枚までは770円となっていました。

ただ、ATMとは異なり、両替機は銀行の窓口の営業時間内である平日の9時から15時までしか使えないようです。その時間に銀行に行くのは難しいとの声もあります。

オンラインで両替する手段があればと思うところですが、Yahoo!オークションでの取引はコレクター向けであり、普通の両替には向いていない印象です。

待っていればそのうち潤沢に出回るようになるとは分かっていても、いち早く入手したい人にとっては悩ましい問題といえます。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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