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ヤンキースは遊撃手を欲しているが、そのターゲットは大物FAではなくこの選手!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アイザイア・カイナー-ファレファ(テキサス・レンジャーズ)Sep 28,2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースは、遊撃手を欲している。

 ここ2シーズン、遊撃を守ってきたグレイバー・トーレスは、9月半ばに二塁へ移った。昨シーズンもそうだったが、今シーズンも、攻守ともに不調が続いた。ホームランは二桁に届かず、OPSは.700未満。遊撃の守備では、108試合で18のエラーを犯した。遊撃と二塁を守った2019年もエラーは少なくなかったが、38本のホームランを打ち、OPS.871を記録した。

 今オフのFA市場に出た大物遊撃手のうち、コリー・シーガーマーカス・シミエンはテキサス・レンジャーズと契約し――シミエンは、今シーズンに続いて来シーズン以降も二塁を守ることになる――ハビア・バイエズはデトロイト・タイガースに迎え入れられたが、カルロス・コレイアトレバー・ストーリーは、まだFAのままだ。

 けれども、ヤンキースが手に入れようとしているのは、彼らではないらしい。ロックアウトに入る直前、SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノは、ヤンキースがレンジャーズとアイザイア・カイナー-ファレファのトレードについて話し合った、とツイートした。そこには、ヤンキースはアンドレルトン・シモンズにも興味を持っている、とも綴ってある。シモンズは、ミネソタ・ツインズからFAになった。

 今シーズン、ヤンキースで遊撃手としてプレーした4人が、遊撃出場時に打ったホームランの合計は12本に過ぎず、出塁率とOPSは.313と.678だった。それぞれのスタッツの順位は、ア・リーグの15チーム中、10位と9位と10位だ。カイナー-ファレファあるいはシモンズでは、これらの向上は望めない。どちらも守備は一流ながら、端的に言えば、守備の人だ。

 にもかかわらず、ヤンキースが彼らを手に入れようとしているのは、次の遊撃手が台頭するまでのつなぎとして考えているからだろう。ヤンキースは、プロスクペクトの遊撃手、20歳のアンソニー・ボルピーと21歳のオズワルト・ペラーザを擁する。今シーズン、ボルピーはAとA+で計109試合に出場し、打率.294と出塁率.423、27本塁打と33盗塁、OPS1.027。ペラーザはA+とAAとAAAの計115試合で、打率.297と出塁率.356、18本塁打と38盗塁、OPS.834を記録した。

 また、来シーズン、遊撃手が打てなくても、そう大きな問題にはなりそうにない。ヤンキースの打線には、パワー・ヒッターが並ぶ。アーロン・ジャッジジャンカルロ・スタントンジョーイ・ギャロゲリー・サンチェスに加え、2020年に56試合で22本のホームランを打ってタイトルを獲得した、ルーク・ボイトもいる。サンチェスを放出しても――その場合は、カイル・ヒガシオカと併用できる捕手が必要になるが――4人だ。彼らの前では、巧打のDJ・ラメイヒューがテーブルセッターを務める。

 カイナー-ファレファとシモンズのどちらも手に入れられないようであれば、ヤンキースは、ホゼ・イグレシアスと契約しようとするかもしれない。

 今オフのFA市場に出た遊撃手の、ここ3シーズンと今シーズンの打撃成績は、こちらに掲載した。

「福岡ソフトバンクのガルビスに近い遊撃手はあのイグレシアス!? 今年のOPSは.709と.701」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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