諸外国におけるニュース取得目的のネットニュースやSNSの閲覧実情をさぐる
諸外国のネットニュースやSNSを見る人たちの実情
インターネットの普及浸透で情報の伝達や取得、検索精査の概念は大きな変化をとげつつある。特に恩恵を受けたのがニュース分野で、また意思疎通ツールとして普及したSNS(ソーシャルメディア)でも多数のニュースが日々流れている。人々はどれほどネットニュースやSNSを見ているのか、そしてどのような端末を利用しているのだろうか。今回は新聞通信調査会が2017年4月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2017年調査)」(※)の内容を元に、その実情を確認する。
次に示すのは調査対象母集団のうちネットニュースやSNSを見る人の割合。設問では「あなたは、インターネットのニュースやSNS(facebook、twitterなど)を見る時に、何を使いますか(回答はいくつでも)」とあり、選択肢には「パソコン」「スマートフォン・携帯電話」「タブレット(例:iPad)」「その他」が用意されている。その結果において一つ以上の選択肢に回答した人の割合を示したもの。SNSはニュースだけが流れているわけではないが、ニュースを広域解釈して「新しい情報」と認識した場合、SNS上の情報は押しなべてニュースとなるとの発想によるものだろう。
なお日本の値は前年に同様の条件下で実施された別調査の値が参考として計上されており、厳密には比較対象とはなり得ない。あくまでも参考値でしかないことに注意が必要。
国によって絶対値に差異があるが、傾向としては女性よりも男性が高く、若年層が高めで歳を取るに連れて値は落ちていく傾向がある。他方中国では属性の差異が無くほぼ同率で高値を示していること(同国では70代以上の回答は無い)、フランスでは男性よりも女性の方がよく見ていること、アメリカ合衆国では意外と若年層の値が他国よりも低いことなどがうかがえる。イギリスが全般的に低めなのは、詳細値の確認の限りでは「無回答」が多めで、他の回答値そのものを圧迫しているのが原因。
特に中国は都市部限定の調査とは言え、面接方式による調査でここまでの高値を示しており、大いに注目に値する。情報取得への意欲は非常に高い。
パソコンとスマホ、その違い
昨今多方面で問題として取り上げられるパソコンからスマートフォンへのシフトの話もあり、パソコンとスマートフォン・従来型携帯電話それぞれにおける、ネットニュースやSNSの閲覧状況を確認する。普段のネット利用スタイルで何を使っているかが透けて見えてくる。
まずはパソコン(PC)。次のスマートフォン・従来型携帯電話と縦軸の仕切り分けは合わせてある。
男女別の差異は大きく、男性の方が高い。年齢階層別ではタイやイギリスのように若年層ほど高い国もあれば、日本のように壮齢層の方が高いところもある。また韓国や中国、アメリカ合衆国は年齢階層別の法則性のようなものは見られない。そして中国の圧倒的な高さとフランスがそれに追随している実情が確認できる。それぞれの国のパソコン普及事情が見えてくるようだ。
続いてスマートフォンや従来型携帯電話。
パソコンと比べて高い値が各国で計上されている一方、よく見ると年齢階層による差異が大きいのも分かる。端末を利用しているか否かの違いが反映されているのに加え、有していてもニュースやSNSに利用する・しないの行動性向も影響しているのだろう。
当然、若年層の方が値は高く、高齢層ほど低くなる。その差異は極めて大きい。見方を変えれば年齢階層別に見たモバイル情報の浸透度合いの一つの指標ともいえる。そうであればこそ、中国が属性にほとんど左右されることなく高い値が維持されていることは、注視すべき結果には違いない。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年2月から3月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。