イラクがロシアから重火炎放射システムTOS-1Aを購入
現在イラクは「IS(イスラム国)」との戦争状態に陥っていますが、アメリカからの武器供給が遅れたため、先にロシアから支援を受ける事態になっています。既にSu-25攻撃機などが到着していますが、7月28日にバクダッド空港でロシア製の重火炎放射システムTOS-1A「ソンツェピョーク」が大型輸送機アントノフAn-124から運び出される様子が撮影されています。
そして10月1日、イラク軍砲兵部隊のパレードにTOS-1Aが公式に姿を見せたことがアルマダ・プレスによって報じられ、イラク軍砲兵総局はロシアから受領したTOS-1Aは、イスラム国(IS)との戦いで衝撃的なものとなると今後の使用を宣言しました。
TOS-1A「ソンツェピョーク」は特殊な兵器システムで、通常の多連装ロケットが数十kmの射程を持ち遠距離の敵を攻撃する目的に対し、TOS-1Aは僅か数kmの射程しかなく、ロケットの推進剤を少なくして弾頭重量を大幅に増やしています。TOS-1は射程が短い為に敵に接近する必要がある為、装甲の厚いT-72戦車の車体を使用しています。
ロケットの弾頭はサーモバリック爆薬で、他の種類の弾薬は設定すらされていません。サーモバリック爆薬は燃料気化爆弾に似た性質の爆発物で、燃料気化爆弾が液体燃料を気化させて大爆発を引き起こすのに対し、サーモバリック爆薬は固体燃料を気化させて大爆発を引き起こします。ロシア語で重火炎放射システム( тяжёлая огнемётная система )と名付けられた通り、目標を火炎で包み込み制圧します。
TOS-1はロシアがソ連時代にアフガニスタンに侵攻した際に敵ゲリラ兵を近距離から殲滅する目的で開発され、アフガニスタンで最初に実戦投入されています。正規軍と戦うための兵器ではなく、ゲリラ掃討に特化して設計された兵器です。
- イラク軍のパレードの様子。動画開始5秒からTOS-1A
- ロシア軍の演習でTOS-1Aのサーモバリック弾頭着弾の様子