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電力ひっ迫のウクライナ 寒さのゆくえ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ウクライナ首都キーウの天気予報(世界気象機関ホームページより)

 10月30日(日)、ヨーロッパでは夏時間(サマータイム)が終わります。深刻な電力制限が伝えられるウクライナ首都キーウでは日に日に、夜が長くなっていて、29日(土)の日の出は午前7時43分、日の入りは午後5時39分です。

 今年2月のロシア軍事侵攻以降、ウクライナのニュースを目にしない日はありません。戦争の怖さ、理不尽さ、言葉では言い表せない思いを感じます。空の色や雲、木々の様子、服装からウクライナの四季を見てきましたが、最近は足早に冬に向かっている様子がうかがえます。

12月のキーウは昼間も0度 

 首都キーウは北緯50度、ちょうどドイツのフランクフルトと同じです。日本付近で言えば、北海道の北、サハリン北部にあたります。東京は北緯35度ですから、この差が気温に与える影響は大きく、秋から冬にかけての最高気温を比べると違いがはっきりわかります。

【東京とキーウ】秋から冬にかけての月ごとの最高気温(平年値)をグラフにしたもの(筆者作成)
【東京とキーウ】秋から冬にかけての月ごとの最高気温(平年値)をグラフにしたもの(筆者作成)

 キーウと東京の気温差は10度以上あり、12月になるとキーウでは昼間も0度くらいになります。ナポレオンがロシアの寒さに勝てなかったことから、厳冬期の寒気を擬人化して「冬将軍」と言うことがありますが、機上から果てしなく続く凍てつく大地を見たときは冬将軍が本当にいるような気がしました。

今後、寒さはどうなるのでしょう?

 こちらは11月半ばにかけての気温を予想した図です。暖色は暖かい空気を、寒色は冷たい空気を表しています。北極を中心に、左にヨーロッパ、右下に日本があります。ちょうどいい具合に収めるのが下手で、見にくくなってしまいました。

【上空1,500メートル付近の気温】週間アンサンブル予想図:上図は来週、下図は来月半ば(ウェザーマップ作画、筆者加工)
【上空1,500メートル付近の気温】週間アンサンブル予想図:上図は来週、下図は来月半ば(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 このところ、ヨーロッパでは季節外れの暖かさが続いていて、29日はスペイン南部で30度くらいまで上がる予想です。ヨーロッパの暖かさは来週にかけても続く可能性が高く、その後もしばらくは極端な寒さは予想されていません。

 一方、日本は来月にかけて、暖気と寒気が交互に影響しあい、寒暖差が大きい天気が続きそうです。

【参考資料】

世界気象機関(WMO):World Weather Information Service

在ウクライナ日本国大使館:ウクライナ概観 (2011年10月現在)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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