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疑問が残るメジャー移籍のルール… 改めてポスティングを考える

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

米大リーグは日本時間24日、60試合と大幅に日程を短縮して開幕する。新たにメジャーに移籍した日本人はレイズの筒香嘉智、レッズの秋山翔吾、ブルージェイズ山口俊の3選手。筒香、山口の2選手は球団が認めたポスティングシステムで、秋山選手だけが海外FA権の行使だった。

 近年は秋山選手のような海外FA権を行使しての移籍は珍しくなった。ダルビッシュ(有投手)もマー君(田中将大投手)もマエケン(前田健太投手)も大谷君(翔平選手)もみんなポスティング。メジャーへの移籍手段として常態化している。

 ポスティングに対する疑問は現役時代から常に口にしてきた。まずもって、12球団統一で導入されたといいつつも「認める」「認めない」は各球団の判断に委ねられている点が公平とはいえない。自分がドラフトで指名された球団が認めてくれなければ、ポスティングでの移籍はできない。

 私の場合は逆指名で巨人に入団したが、FA権を取得するまで10年を要した。巨人はポスティングでの移籍を認めていなかったため、ポスティングを希望したことで、メディアからも「ワガママ」だと散々たたかれた。一方で球団が認めた場合には、送り出すファンも応援する温かい雰囲気ができあがる。こんな不平等な制度はおかしい。

 現状のポスティングは球団、選手双方に一定のメリットがあるのはわかる。選手が9年在籍(1軍登録を満たすことが条件)して海外FA権を行使してメジャーに行ったら、所属していた日本の球団には1円も入らない。だったらFA権の取得の1年か2年前にポスティングを認めるというからくりだ。選手も海外FA権の取得を待たずに1年でも早くメジャーに行くことができ、球団はメジャー球団からの「移籍金」を得ることができる。

 ただ、主導権はあくまで球団にあって「NO」と言えば3秒で終わる話だ。

 今後どうしていくのがいいか。一番スッキリしたメジャー挑戦の手段は、選手がFA権を取得し移籍することだ。そのためには、選手が若く挑戦できるようにするために現状よりもFA取得までの期間を短くすべき。大学出身の選手が遅くとも30歳までに挑戦できることを考慮すれば、取得まで現状の9年は長い。

 ではポスティングはどうか。私は12球団統一のルールを作るべきだと考える。FA権のように1軍登録日数が一定の年数を満たした選手が希望すれば、球団は自動的に入札にかけるようにすればいい。そうすれば、ドラフトやFAで選手が入団する際に「実は何年後かにポスティングを認める密約がある」などとささやかれたりすることもなくなる。

 最初からメジャーという目標があるのなら、アマチュアから直接メジャーへ挑戦するという流れがもう少し広まってもいいのではないか。その場合の受け皿として、前回のコラムでも書いたが、田澤ルール(ドラフトを拒否した選手は海外の球団退団後、高卒は3年間、大学・社会人出身は2年間、日本のプロ野球(NPB)でプレーできない)を撤廃しておくべきだ。

 日本人選手のメジャー移籍は、近鉄を任意引退の扱いでドジャースと契約した野茂英雄さんが重い扉をこじ開けてくれたことで本格化した。その後も日米間のトレードや自由契約など様々な方法で選手が海を渡り、現行のポスティングシステム導入に至った。とはいえ、野茂さんのメジャー挑戦から数えてもまだ26年目。長い球史の中で、移籍ルールに改良の余地はまだまだあるはずだ。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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