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「後悔しない野球人生を」メジャー挑戦報道の菅野智之に上原浩治が伝えたいこと

上原浩治元メジャーリーガー
2017年WBCではアメリカ戦に登板。ついに憧れのメジャー挑戦なるか。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 巨人の菅野智之投手が、今季終了後に海外フリーエージェント(FA)権を行使して、メジャーリーグ移籍を目指すことが明らかとなった。今季は15勝をマークし、4年ぶりとなる4度目の最多勝に輝き、最高勝率(8割3分3厘)のタイトルと2冠を達成した。

 20年シーズン終了後にポスティングシステムでの移籍を目指したが、合意に至らなかった経緯もある。十分な実績を持つ右腕が、自ら手にした権利を駆使しての挑戦。ポストシーズンを終えた後、悔いのない決断と選択をしてほしい。

 ポスティングでの移籍が実現せず、挑戦の意思は胸にしまいこんだのだと思っていた。右肘の故障で出遅れた昨季は4勝(8敗)と苦しいシーズンになったが、見事に復活。腐らずに練習と向き合う重要性を結果で示した。

 34歳という年齢も不安視する声もあるだろうが、136の白星を積み上げた実績と、経験値は他の追随を許さない。実力的には全く問題はないだろう。契約年数や条件、さらには交渉する球団も絞られるケースがあるだろう。それでも、本人が行きたいと望む以上、契約が決まれば、あとは実力社会の競争と向き合うだけになる。少なくとも、スタートラインに立つ資格を、日本球界での十分すぎる実績で手に入れている。

 実際にメジャーに行けば、実績ではなく、実力勝負になる。そこで生きるのは、幾多の修羅場をくぐり抜けた経験値だろう。

 少年野球の教室などに顔を出すと、私はいつも「後悔するような野球人生にはしてほしくない」と訴える。それは、プロにもあてはまる。私もそうだったが、メジャー挑戦を口にしたときは、ネガティブに報道されることもある。自分自身にも不安がないわけではない。それでも、後から「あのとき、挑戦しておけばよかった」とは思いたくないから決断をしてきた。智之の決断を尊重し、エールを送りたい。

 同時に、この話題は、私もいったん封印する。

 今回の発端は、日本時間4日夜の米スポーツ専門局ESPNによる先行報道だった。

 智之は5日、クライマックスシリーズに向けた練習後に報道陣の取材に応じ、球団に意向を伝えていたことを明かした上で、「今回(報道が)出てしまったのは自分の意思ではなかった。チームの大事な時期に申し訳ないという気持ちがある」と謝罪したという。

 メディアの一方的な都合で報じられ、まだ伝えていない人もいるとした中で、報道と向き合って「チームはすごく大事な時期。シーズンが終わったタイミングで、もう一回、しっかり自分の口から話したい」と語った。その気持ちを尊重したい。決意の言葉は、日本一奪回の後にたっぷり聞ければいいと思っている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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