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アップル、次のiPhoneは健康管理が目玉機能か? 腕時計型端末と連携するメディカルアプリ開発中

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

アップル関連の情報を追っている米国のニュースサイト「9to5Mac」によると、アップルはモバイル基本ソフト(OS)の次のバージョンに、健康管理やフィットネスの機能を組み込む可能性が高いという。

健康管理アプリ「Healthbook」を次期OSに搭載

同社は現在、開発コード名で「ヘルスブック(Healthbook)」と呼ばれるアプリケーションを開発しており、これを次期OS(「iOS 8」と報じている)に搭載する計画だという。

このヘルスブックでは、歩数、距離、消費カロリー、体重などのフィットネスデータや、血圧、心拍数、血糖値などの健康管理データを記録、管理できる。また医薬品の情報なども記録でき、iOSに備わっている「リマインダー」アプリを通じて、薬の服用タイミングを教えてくれるという。

アップルの現行のスマートフォン「アイフォーン5s」や、タブレット端末の「アイパッドエア」と「アイパッドミニ(レティナモデル)」には、「M7」と名付けられた、メインプロセッサーを補助するコプロセッサー(副処理装置)が搭載されている。

これはモーショントラッキング専用のコプロセッサーで、端末に搭載されている加速度センサーや、ジャイロスコープ、電子コンパスから送られてくるデータをメインプロセッサーに代わって処理している。

だが、この仕組みだけでは、モバイル端末に歩数計の機能を付け加えることができても、バイタルサイン(血圧や心拍数)などの健康関連データは得られない。そこで、かねてアップルが開発していると噂されていたウエアラブル端末「アイウォッチ(iWatch)」が登場するのだという。

9to5Macによると、腕時計型のアイウォッチはアイフォーン単体では不可能な健康管理データの収集を行い、それらをアイフォーンやアイパッドに無線で送信する。

現在、iOSの新版はアイウォッチを念頭に置いて開発されており、アイウォッチもiOSと同じく年内に市場投入される可能性があると、9to5Macは伝えている。

アップルの幹部、食品医薬品局と会議

一方、米ニューヨーク・タイムズは、アップルの複数の幹部が昨年12月に米食品医薬品局(FDA)の管理官と会議を行ったと伝えている。

詳細については明らかになっていないが、FDAの公開スケジュール表によると、議題は「モバイル・メディカル・アプリケーション」。

これによると、アップルからは業務担当シニアバイスプレジデントや、ソフトウエア技術担当バイスプレジデント、同社が昨年医療技術会社から引き抜いた人物などが出席、FDAからは医療用の機器とモバイルアプリの規制担当者が出席している。

こうした顔ぶれから判断すると、会議がありふれた内容でないことは明らかで、医療機器やアプリの規制方針に関する状況をアップルが確認したか、あるいはアップルにFDAの規制をクリアしたい未解決の問題があるかのどちらかだとニューヨーク・タイムズは伝えている。

また同紙は、昨年ティム・クックCEO直属の特別プロジェクトに異動したハードウエア開発のベテラン、ボブ・マンスフィールド氏がスマートウォッチのハードウエア開発に直接関わっていると伝えている。マンスフィールド氏はアイフォーンと連携し、健康関連データをやりとりする、機器やセンサー、関連技術の開発に携わっているという。

なお現在はサードパーティー各社が、アップルのモバイル端末と連携する様々な健康関連製品を販売している。それらには、体重計、歩数計、心拍モニター、活動量計などがあり、アップルもその一部を自社のオンラインストアで販売している。アップルが開発中のアプリ「ヘルスブック」はこれらの機器との連携を高め、既存製品の使い勝手をよくするものになるのかもしれないと9to5Macは報じている。

JBpress:2014年2月4日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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