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若者の各国心配事情、日韓は多め?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 悩み多き年頃ではあるのだが…日本は特別?

日本は諸外国と比べ物事をネガティブに考え、悩みがちとの調査結果が数多く挙げられている。内閣府が2014年6月に発表した、日本を含めた諸外国の若者層における意識調査「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」でも、韓国、そして日本において、他国と比べ、多くの人が悩みを抱えているとの結果が出ている。

次以降に示すのは、その調査における「悩みや心配事の有無」の項目を再整理したもの。提示した事柄に関して心配や悩み事があるか否か、どれ位あるかについて、「心配」「どちらかといえば心配」「どちらかといえば心配では無い」「心配していない」の4選択肢を提示し、その中から1つを選んでもらい、そのうち前者2つ「心配」「どちらかといえば心配」、つまり心配派を合算した値を示したグラフ。また「進学」は在学中の人、「仕事」は就労者限定の回答となっている。

まずは主に自分自身のことについて。

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↑ 次の事柄についてどれぐらい心配か(心配派合計)(各国比較)
↑ 次の事柄についてどれぐらい心配か(心配派合計)(各国比較)

全般的な傾向として、韓国の値がずば抜けて高い。そしてそれに日本が続いている。上記8項目ではすべて韓国がトップに、つまり韓国の若者が一番これらの事柄について悩みや心配事を抱えている。その他西洋諸国では概して低い値が出ているが、いくつかの項目でフランスが他の国より高い値を出しているのは注目に値する。他の項目でも西欧諸国中、フランスは他国とやや異なる動きを見せることが多く、文化的にやや違いがあるものと考えられる。

個々の項目別で見ると(各グラフで縦軸の区分は統一している)、自分の内面的な事柄、「健康」「容姿」「性格」は幾分低めで、特に西洋系の国では低い値に留まっている。他方、成人に達して就労を果たした以降の話、「就職」「仕事」、さらにはそれらを含めた「自分の将来」のような、今後について不安を覚える意見が多く、特に日本と韓国では高い値が出ている。若年層の就労問題は先進諸国共通の問題だが、それも国毎に当事者の若者における認識には、多分な差が出ていることになる。

続いて主に自分自身の事では無く、周辺に関する事象。

↑ 次の事柄についてどれぐらい心配か(自分の周辺事象)(心配派合計)(各国比較)
↑ 次の事柄についてどれぐらい心配か(自分の周辺事象)(心配派合計)(各国比較)

自分自身に対する悩みや心配と比べ、国ごとの差異があまり無い。しかし韓国が一番多く、日本がそれに続いている図式には変わりがない。また「家族」「異性との交際」では大人しい値に留まっているが、「お金」「政治や社会」の点ではやはりフランスが他の西洋諸国から抜きんでて高い値を示している。とりわけ「政治や社会」では、フランスは日本を抜き、韓国に次ぐ立ち位置にある。逆にイギリスが低めな値に留まっているのも注目に値する。それぞれの国の特性が垣間見れるというものだ。

「日本の若者は政治や社会に対する関心が薄い」との話をよく見聞きする。だが今件調査の結果によれば、少なくとも他国同様、注意関心を寄せて悩み、心配していることが分かる。無関心、無頓着なら、心配をしたり悩むこと自体をしないからだ。

ただしその思いは非常に複雑なもの。日本の若者は他国と比べ、政策決定に自らが関与することは望まない一方、専門家の間で決定してしまうことにも異論を唱え、しかも社会そのものの構造の複雑さから関与を拒む傾向も強い(これらは今調査別項目で明らかにされている)。要は関心が無いわけではないが、何をすれば良いのか戸惑っている状態に見えてくる。日本の若年層の間に蔓延しているとされる政治不信の原因も、この辺りの心理状況から、その理由が分かるかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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