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ジャガーズ戦で初勝利へ。サンウルブズ堀江翔太キャプテンが「我慢」の大切さ語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
トライセンスと決死のタックルでチームを引っ張る。(写真:ロイター/アフロ)

国際リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズは、4月23日、東京・秩父宮ラグビー場でジャガーズとの第9節をおこなう。昨秋のワールドカップイングランド大会で4強入りしたアルゼンチン代表に相当する強豪クラブをホームに迎え、歴史的な初勝利を目指す。19日の午後練習前、フッカーの堀江翔太キャプテンが取材に応じた。

チームは17日までの約3週間、シンガポール、南アフリカでの長期遠征を敢行。4戦全敗に終わっていた。

特に4月15日の第8節では、記録的な大敗を喫した。南アフリカはブルームフォンティンのフリーステイト・スタジアムで、チーターズに17―92で屈した。遡って4月2日、ポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアムでは、キングスとの未勝利同士の第6節を28-33で落としていた(それぞれ現地時間)。

試合のなかった第2節を挟んで開幕7連敗中。堀江が最前列中央で組むスクラム、投入役を務めるラインアウトでは、特に苦しんでいる。もっとも本人は、前向きな思考を強調する。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――チーターズ戦からの気持ちの切り替えは。

「大切でしょうね。これに引っ張られて試合するのが一番ダメなので。現状はしっかりと受け止めなければならないですけど、どうポジティブに捉えていくかを考える。起きたことを忘れるのではなくて、ああいう悔しい思いをしたという気持ちはしっかりと残して、次の試合に臨みたいです」

――(当方質問)午前中も練習をしたと思いますが、いかがですか。選手の様子などは。

「時差(ボケ)はあると思うんですけど、どうですかね、元気よくやってますよ。コーチもそう促してくれている」

――キャプテンからの声かけは。

「試合後にそういう話はしたので、あまりいまはしていない。午後の練習前に何かを言おうとは思いますけど。あんな試合をした後の割には、(雰囲気は)いい方じゃないですか。もっとどよーんとしているかと思いましたけど。皆、次に結果を残したい。それが表れているかなと」

――次は大事な試合になりますか。

「そうですね。大敗した時は、個々が流れを変えようと1人で頑張り過ぎた部分もある。そういうことは、次の試合ではなくそうと思います。頑張らなきゃダメですけど、個人個人で頑張りすぎるのは違う。皆にはそう言おうかと」

――スーパーラグビーはちょうど中盤戦。これまで、どうでしたか。

「大変だったので。早いようで、長いようでって感じですよね。ずっとラグビーを続けているので、もう、4月の終わりか。ね、あっという間です」

――序盤戦では、トップリーグが終わって間もないことで試合勘のアドバンテージがあった。ただ、いまは疲れが…。違いますか。

「そんなに難しいことは考えてないです。シンプルですよ。勝ちたいと思って、試合をする。試合数がどうのこうのと数えて、疲れて…ということは、シーズンが終わってから次のシーズンに向けて考えること。いまそこら辺を考えるのは上の人(運営側)とかだけで、選手はそういうことは考えていないと思いますよ」

――ジャガーズについて。

「セット(スクラム、ラインアウト)は強いと思いますよ。フォワードで対抗できたら。セットは避けていきたいと思うけど、避けられない部分も出てくる。フォワード、キーになると思います。自分たちの組み方を作りたい。相手が(組み合う瞬間に体重を)かけてきているなか、自分たちがそうした時はペナルティーを取られたりもする。その辺の駆け引きもうまいことできたら」

――(当方質問)ジャガーズのスクラム、特徴はありますか。

「まだそこまで(詳しくは)観ていないですけど、どのチームも8人全員でまとまってくる。後ろ(ロック、フランカー、ナンバーエイト)の押しが強い。こっち(サンウルブズ)の後ろの押しも(重要)」

――(当方質問)ジャガーズ。試合によってはいいディフェンスをしていますが。

「まぁ、(じっくりとボールを)継続さえすれば(サンウルブズの)チャンスが生まれると思う。(チーターズ戦では)点数を取りたいと焦り過ぎて、一発を狙い過ぎてしまった。最初に一発で取られ続けて点数が開いたことも、その理由だと思う。ハル(センターの立川理道)に、その辺をコントロールしてくれたらいいかと思います。もう少し我慢してアタックできたら。我慢さえできれば、いい方向へ転ぶと思いますよ。ディフェンスでは、相手が大きい分、スペースを与えると食い込まれる。そこをどう対処するか、というところです」

――(当方質問)キャプテン就任時、「しんどいこともあると思う」と仰っていました。実際、いかがですか。

「全然、結果は出ていなくて、しんどいこと続きですけど、ネガティブに考えていたらそちらへ転んでいって、試合をするのも嫌になってしまう。いつ道が開けるのかはわからないですけど、シンプルに頑張ってやっていく。観ている人に何かが伝わればいい」

――周りの選手への精神面でのサポート、声かけは。

「意外と、そういう声をかけなくても、外国人選手を含めて『こうしたい、ああしたい』という思いが出てきている。大丈夫だと思います。ハマーも上手に気を遣ってくれる」

――ここまでの試合で、できたこととできていないことは。

「まず、セットが安定していないですよね。できたことは…短期間(開幕まで約4週間という限られた準備期間)でも、僕たちが試合でしたいことはできている。完ぺきではないですけど、僕たちがこうアタックしたい、というものは見せられている。ディフェンスでの我慢もできているところもある」

――(当方質問)帰国時は、メンバーの入れ替わりによる連携不備を指摘されていましたが。

「そうですね。多少はあるんじゃないですか。普通のチームなら1年間、皆で過ごしてお多賀の癖を知って…というの(過程)があるんですけど、ここではそれがないので。それはいい経験として、選手に残っていく」

――次はホーム。

「常に結果を残したいと思っていますよ。ホームだろうが、アウェイだろうが。頑張ります」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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