【速報】欧州議会選挙の結果表。ほっと一安心の内容:前回との比較議席数とコメント:次の委員長はだれ?
欧州議会選挙の結果をお知らせしたい。
(26/05/2019- 欧州中央時間22:51現在)
【全751議席。過半数は376議席】
全体を見てコメント
◎前回は中道右派(EPP)と中道左派(S&D)だけで403議席で過半数に達していたが、今回は超えない(325議席)。
◎ただし、中道(ALDE&R)と合計すると426議席で、過半数にいっている。中道の党の議席が大幅に増えたのは、フランスの「共和国前進」党(マクロン大統領の党)がここに入ったからである(5年前の欧州議会選挙では、この党はまだ生まれていなかった)。
◎緑の党系が大幅に票を伸ばし、極左がかなり減った。極左は極右にお株を奪われたのだろうか。
◎極右は「3割」と言われていたが、そこまでいかなかった。いわゆる極右政党のENFとEFDDを足しても15.05%、EU懐疑派のECRを足しても23.04%だった。(無所属と、既存欧州政党に属さない新たな新議員に、極右やネオナチがいるかもしれないが)。
◎この数字は、あくまで前回の欧州政党の構成に基づいたものだ。おそらく、政党の大きな移動が起こると思う。
特に英保守党が中心となっているECRや、英独立党(ファラージの党)が重きをなしているEFDDに属している政党は、離れていくのは間違いないだろう。この2つは、欧州政党の条件を満たせなくて、解党し、消滅するのではないか。EUを出ていくイギリスの政党とくっついていても、得なことは何もない。
となると、彼らは他の党に入るか、新しい党をつくるか、無所属になるかである。かなりの動きが起きそうだ。
ブレグジットでイギリスの極右政党がいなくなれば、欧州議会全体の極右率は、一層減るのではないだろうか。
◎全体を見れば、一安心というところだ。伝統的な中道右派・左派は票を減らしたが、中道や緑の党系が票を伸ばしたし、各国の結果を見ると、前評判どおり左派が第一党になったところは多い。マスコミは目立つところや大国の動静を報道する傾向があるが、EUは28(27?)カ国ある。全体を見る必要がある。
◎欧州政党をつくるには、最低でも25人、7つの国からの議員がいなければならない。これからかなりの動きがあるだろうから、注目していきたい(でも、委員長選出をくつがえしかねないほどの大きな動きではないのではないか)。
誰が次の委員長?
一体誰が欧州委員会の委員長になるのだろう。
第一党は、前回と同じで中道右派(EPP)だが、大幅に議席を減らしている。
となると、もしも同じく議席を減らした第二党の中道左派(S&D)が、議席を伸ばした第四党の緑の党系(Greens/EFA)と組むようなことがあれば、議席数は一番になる。
ここで気になる動きは、やはり大きく議席数を伸ばした第三党の中道の党(ALDE&R)だ。ここにはマクロン大統領の党がいる。
何が問題かというと、第一党(EPP)が公式候補にしているマンフレート・ウェーバー(ドイツ人)に、マクロン大統領が反対しているのだ。理由は、彼の経歴にある。彼は若いせいもあって(46歳)、国政で普通の議員の経験しかない。首相経験はおろか、大臣経験すらゼロだ。ヨーロッパの長となるには、あまりにも不足なのである。
反対しているのは、マクロン大統領だけではない。各国の首相経験者が、ユンケル委員会では副委員長にずらっと名をつらねたような状況にあって、猛反発する人たちはかなり多いと思う(筆者は「欧州の政治家すごろく、あがりは欧州委員会委員長」説をとなえている。ただし大国の場合はそうでもないかもしれないが)。
あと、ドイツ人というのもネックだろう。あまりにもパワーバランスを欠くというか・・・。欧州議員にとっては、若くて大臣経験もない分、国政の臭いがついていなくて、欧州議会で育った人(?)。そこが良い、だからドイツ人でも良い、いえ、ドイツ人「が」良い、ということなのだろうが・・・。
委員長の権限がユンケル委員長の時代に増したこともあり、やっぱりあまりにもまずいんじゃないかと思う。
参考記事:アメリカとEU(欧州連合)、トランプ大統領とユンケル委員長の会談で、一番驚いたこと
となると、ティマーマンス委員長の誕生だろうか。
彼は首相経験こそないものの、ずっと外交畑で、外務大臣を務めたこともある。ユンケル委員長の右腕で、筆頭副委員長だった。それに、オランダという出身国が、またEUらしい。
しかも、母語のオランダ語とリンブルフ語のみならず、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語に堪能だという。EUにぴったりの人材だ。
まだ確定の結果は出ていないが、各国の結果は以下のサイトで見られる。地図で知りたい国をクリックすると結果が出てくる。
とりあえず、一安心した結果だった。