写真閲覧注意 トナカイが肉となる屠殺場見学へ ノルウェーの幼稚園
ノルウェーのグランストゥッベン幼稚園がフェイスブックにアップした写真が、国内外で大きな注目を集めている。15人の子どもたちを、トナカイを殺して食肉にする屠殺(とさつ)場見学へと連れて行き、現場での写真をネットで一般公開した。
子どもたちは、生きたトナカイが殺され、肉となるプロセスを見学。赤い血がついたトナカイの皮を自ら運んだり、掃除を手伝ったりした。
投稿には、複数の国からの言語で900件以上のコメントが付き、600回以上シェアされ、いいね!などの5000以上のリアクションがついている。コメント欄には、ノルウェー人からのポジティブな反応が目立つ。
- 「素晴らしい!食べ物がどうやって、どこからくるのかを学ぶことができる貴重な体験です」
- 「私の子どももこの見学に参加していました。息子は家に帰ってきてから、何があったかを楽しそうに話してきましたよ」
- 「魚は店の冷凍庫からくるものだと、テレビのインタビューで答える子どもがいる今の時代。とてもいい体験だと思います」
- 「真実を教える幼稚園に万歳」
子どもに体験させるものではないとするコメントもある。
- 「なんて残酷」
- 「この年の子どもが、なぜ全ての真実を知る必要があるの?」
- 「狂気としか言いようばない」
- 「吐き気がする」
- 「子どもに殺すことを教えるの?グロテスクすぎる。こういうことで、子どもは少しずつ壊れていくのですよ」
VG紙に対し、園長は「このような大きな反響がくるとは思わなかった」と語る。同幼稚園では、これまでも頻繁に野外活動などでの様子をフェイスブックに投稿していた。
「子どもたちは掃除をし、トナカイの頭や足などの残骸を集める手伝いをしました。白い雪の上に赤い血が広がっていますし、動揺する人がいることは理解できます。しかし、これが狩猟というものです。動物の狩猟は、私たち人間が長く行ってきた伝統です。子どもたちは、狩猟がどのように行われるかを学んでいたのです」と、ストラン園長は説明する。
トナカイの屠殺(とさつ)場見学は、教育担当者の職員の提案によって実現。スカンジナビア半島に住む先住民族サーミ人は、トナカイの狩猟や遊牧を昔からおこなってきた。幼稚園でのクラスでサーミ人の文化がテーマとなり、見学をすることになったという。
トナカイは「サンタクロースのペット」というイメージがあるが、ノルウェーではいまも食肉として一般家庭で調理、スーパーマーケットなどでも販売され、レストランでは観光客の間で人気のメニューとなっている。
「子どもたちはとてもワクワクしていました。最初は奇妙に感じたようですが、慣れるまでに長い時間はかからず、触ったり見たりしていましたよ」とダーグブラーデ紙に語る園長。これがノルウェーの文化なのだと真実を伝え、大人が子どもに説明することの必要性を強調した。
生きた動物を殺し、皮をはぎ、肉を調理するという体験は、筆者がこれまで取材したほかのノルウェーの幼稚園でもおこなわれていた。
幼稚園のスタッフで、見学に同行していたというテレーセ・ヨンセン氏に電話で取材をした。
「たくさんの血や、変な匂いもするので、子どもたちは最初は奇妙だなと感じたようです。“手伝いたい”と、トナカイの足などの掃除を率先して始めたのは、子どもたち自身でした」。
様々な反応もきたが、国内の幼稚園事情に慣れているノルウェーのメディアの報道の仕方も含め、国内からはポジティブな意見もたくさん届いたという。
保護者や子どもには事前に説明し、見学には希望者のみが参加した。ヨンセン氏によると、不参加を決めた子ども(保護者)は、たった1人だけだったという。
※写真は幼稚園の許可を得て掲載
Text: Asaki Abumi