リンデンラボの特許について調べてみた(1)
一般に技術の大きな潮の変わり目(たとえば、2000年頃のウェブや2005年頃のタッチUI)には強力な特許が生まれる可能性が高まります。技術そのものが斬新なのでその応用である発明の新規性・進歩性のクリアーも容易だからです。逆に、技術がある程度成熟化すると、すごい発明をしたと思っても、同じアイデアをとっくの昔に別の人が思いついている可能性が高まります。
現在のメタバースという新たな潮の変わり目においても、強力な特許が生まれている可能性があります。どの程度バブルが含まれているかの判断が難しいところですが、メタバースが現在要注目の技術であることに異論のある人は少ないでしょう。
しかし、メタバース関連特許については、最近の特許だけではなく、元祖メタバースサービスとも言えるSecond Lifeをチェックしてみるべきでしょう。Second Lifeの開発元、リンデンラボ(正式社名はLinden Research, Inc.)は米国でいくつか特許を取得していますので調べてみました。
一般に、2000年頃に出願された特許は、今となっては当たり前になっているアイデアがしれっと広範囲で特許化されていることがあるので注意が必要です(対コロプラの訴訟で任天堂が使った特許群のことを考えてみればわかるでしょう)。もちろん、逆に、現在のテクノロジ環境では使い道がない陳腐化した特許が惰性で更新だけされている可能性もあります。
なお、現在、Linden Research社は投資ファンドの傘下にあります。一般に、投資ファンドが(特に実業の業績が芳しくない場合)知財のマネタイズに走ることはよくあります。メタバース系のサービスを行おうとしている企業はLinden Research社の特許を気にされておいた方がよいかもしれません。
まず、US7117136について見てみましょう。発明の名称は、” Input and feedback system”、出願日は2000年8月18日です。米国の特許制度にはPTA(Patent Term Adjustment)という規定があり、所定の条件の下で特許の存続期間が出願日から20年以上を超えることがあります。そのため、この特許の存続期間満了予定日は2023年7月7日となっています(現在でも有効に権利が存続しています)。米国のみの特許化です。
この特許のポイントは、メタバースのようなシステムにおける没入感のある操作方法です。今日のテクノロジ環境で使い道があるかは微妙ですが、基本的アイデアがほぼそのままで権利化されているので要注意ではあるかもしれません。
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