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サンウルブズ5連敗。指揮官は「スーパーラグビーは二極化する」と吐露。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
タックルを放つブリッツ共同キャプテン(写真はブランビーズ戦)。(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦して3季目のサンウルブズは、3月24日、東京・秩父宮ラグビー場で5試合目にあたる第6節をおこない、ニュージーランドのチーフスに10-61で敗れた。

 大外の防御の穴を突かれ、好機でのラインアウトはミスを連発。開始20分で4トライを与えた。

 試合後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチと共同キャプテンの1人であるヴィリー・ブリッツが会見。指揮官はまず、開始予定時間が遅れたことを詫びた。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合直後、どんなミーティングをしていたのですか。

ジョセフ

「(息を切らして)まずは遅れて申し訳ございません。けが人が出たので、そのチェックをしていました。来週バイウィークに入る前に、選手のけがの状態を把握したかったのです。私は勝っても負けても、試合後すぐに(選手へ)話すということはしません。試合直後は色々な感情、気持ちがあるので、ビデオで見てからその内容を話そうとしています。ただ、選手が非常にがっかりしているのは確かです。序盤でトライを取られ、それがチームの自信喪失につながることがあったと思います。それに加えて、士気が下がった。意図的ではないにせよ、そういったことがスーパーラグビーの舞台で顕著に表れています。

 セレクションについて。今週は数名をリフレッシュさせる考えもありました。南アフリカ遠征からの移動帰りであること(19日に帰国)、チーフス戦への準備時間が短かったこと(20~23日の4日間のみ)から、新しいメンバーを入れて他のメンバーをリフレッシュさせるということを考えました。継続的に試合に出ることでフィットネスが上がり、プレーの強度に慣れるという部分はあるのですが、色々な要素を踏まえ、今回はこのようなメンバー(直近の遠征に不参加だった選手が7名メンバー入り)になりました。

 そしてチーフスです。彼らはカウンターアタックがずば抜けている。チャンピオンになったこともあるチーム。彼らを相手にミスをしたり隙を与えたりすると、失点してしまう。そこでサンウルブズがミスを犯してしまった」

――防御の課題は。相手スタンドオフのダミアン・マッケンジー選手に崩された印象だが。

ジョセフ

「ミスタックルが起きました。マッケンジー1人に自由にやられたかと言われれば疑問が残りますし、チーフスがチームでトライを取ったように思います。ただ、マッケンジーはニュージーランドのなかでも優秀な選手ですし、スーパーラグビーではそのような選手と真っ向から戦わなくてはならない。

 ディフェンスでは、ゲインラインの前で止めることを心掛けています。ただ、ステップを切られるなどして前に出られると、(防御側が)前に出ているがゆえに崩壊してしまうということもあります。リスクが伴います。ただ、うまくいけば機能して、相手に圧力をかけられます。大きな相手へのディフェンスで待っていては食い込まれるだけ。こちらから前に上がろうという考えに基づいて、今回のディフェンスをしています」

――選手の入れ替えなどが多かったことについて。

ブリッツ

「メンバー変更が機能しなかったとは思えません。新しいメンバーはいい態度で試合に臨んでくれた。ただ、少し緩んだ場面に3~4本トライを取られ、追いかける苦しい展開になりました。こっちが勝負を仕掛ける時にミスが起こり、なかなか自分たちの流れを掴めなかった」

――試合ごとにメンバー変更がなされています。影響は。また、次戦に向けて。

ジョセフ

「自ら選択してそういう形になったのではなく、けががあったからこういうメンバー構成になった。純粋なセレクションでメンバーを変えたのは今回が初めてです。リフレッシュさせたかった思いもありましたし、何人かの選手は時差ぼけが取れていないところもありました。過去のスーパーラグビーでコーチをしてきたなかでも、そういう手法を取ってきました。(南アフリカではけが人の影響で)立川理道が専任ではないなか10番(スタンドオフ)を務め、今回は専任の10番(田村優)を復帰させた。これは変更なのかと言われればまた違います。けがへの対応は必要に応じてやらなくてはいけないですが、専任選手を復帰させることは必要なことだったと思います」

――大敗後のバイウィーク。

ジョセフ

「悪いタイミングだとは思いません。コントロールできることはコントロールします。きょうは持てるポテンシャルを発揮できなかった。ライオンズ戦、ブランビーズ戦(いずれも7点差以内の敗戦でボーナスポイント獲得)は勝ってもおかしくなかった。十分に実力があって、勝てるという信念を失っていないと思います。試合を通し我慢や賢さが足りない場面があるが、それを修正すれば勝ちが見えてきます。ただ、シーズン中盤、スーパーラグビーは以降は二極化が進みます。プレーオフ進出を争うチームと、それがもう難しいチームに分かれてしまう。そして残念なのは、我々がその後者に入っているということです」

 ハイランダーズを率いて2015年のスーパーラグビーを制したジョセフが、最後に「中盤戦以降は二極化」と吐露。もっともサンウルブズは、シーズン開始前に「5位以内」という目標を掲げている。

 ちなみに参考の観客数は「13464人」で、スタンドには空席が目立った。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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