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豪腕・西山朋佳女流三冠、棋士編入試験の受験資格獲得なるか? 7月4日、朝日杯一次予選・阿部光瑠七段戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月4日。東京・将棋会館において第18回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦、阿部光瑠七段(29歳)-西山朋佳女流三冠(29歳)戦がおこなわれます。

 持ち時間は各40分で、使い切ると1手60秒未満。対局開始は10時です。

 勝者は2回戦に進み、14時から佐々木大地七段(29歳)と対戦します。

1回戦から好カード

 阿部七段と西山女流三冠は公式戦初手合となります。

 阿部七段は朝日杯参加は14回目。新四段だった2011年、参加1回目で一次予選、二次予選を勝ち上がり、本戦では森内俊之名人(当時)まで破り、ベスト8に進む活躍を見せました。

 西山女流三冠は朝日杯参加は6回目。前回は強敵を連破して、女性として初めて一次予選を突破しました。

 二次予選では佐藤康光九段に惜敗したものの、その健闘ぶりが光りました。

西山女流三冠、あと1勝で受験資格獲得

 西山女流三冠は6月23日放映(5月20日収録)のNHK杯本戦1回戦で強豪・木村一基九段に勝っています。

 2回戦では藤井聡太七冠-西山朋佳女流三冠戦という、ドリームマッチが実現しています。

 西山女流三冠の一般公式戦における直近(2023年6月以降)の成績は12勝7敗(勝率0.632)という目覚ましいものです。

 阿部七段戦に勝つと13勝7敗となり「いいところどりで10勝以上、なおかつ6割5分以上」という条件を満たして、棋士編入試験の受験資格を得ます。(受験するかどうかは自由です)

 西山女流三冠はかつて、棋士の養成機関である奨励会に在籍。難関の三段リーグでは10期ほど戦いました。2019年度後期は14勝4敗の好成績をあげながら、惜しくも次点でした。

 奨励会退会後は、女流棋士に。現在は福間香奈女流五冠とともに「二強」と並び称されています。

 福間(旧姓里見)女流五冠は2021年7月から22年5月にかけて、一般公式戦で10勝4敗(勝率0.714)という成績をあげ、棋士編入試験の受験資格を得ています。

 五番勝負では残念ながら0勝3敗で敗退となりました。

 もし今回、西山女流三冠が受験資格を得れば、史上7人目。女性としては史上2人目となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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