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贅沢税の算出に用いられる大谷翔平の「年俸」は7000万ドルではないが、それでも史上最高額

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平 Aug 15, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平は、ロサンゼルス・ドジャースと10年7億ドル(2024~33年)の契約を交わした。ただ、ESPNのオールデン・ゴンザレスらによると、年俸は200万ドルずつ。あとの6億8000万ドルは、2034~43年に、毎年6800万ドルがドジャースから大谷に支払われるという。

 メジャーリーグにサラリー・キャップ――超えてはならない年俸総額の上限――はないが、設定された金額を上回ると、超過分に対してラグジュアリー・タックス(贅沢税)が課される。正式名称は、コンペティティブ・バランス・タックス。各球団の競争力のバランスをとるための税、といったところだろうか。

 設定の年俸総額は、2022年が2億3000万ドル、2023年が2億3300万ドル、2024年が2億3700万ドル、2025年が2億4100万ドル、2026年は2億4400万ドルだ。

 各球団の年俸総額が設定額に収まったのか、あるいは超過したのかは、ざっくり言うと、40人ロースターに入っている選手の契約の年平均額を合計した金額によって決まる。

 ただ、大谷の場合、この年平均額は、総額(7億ドル)を年数(10年)で割った7000万ドルでも、繰り延べ払い以外の年俸200万ドルでもない。ジ・アスレティックのファビアン・アーダヤらによると、約4600万ドルだという。

 例えば、来シーズン、大谷を除いたドジャースの選手たちの合計額が2億ドルだとすると、大谷を含めて2億4600万ドルなので、900万ドルの超過――年俸総額2億4600万ドル-設定額2億3700万ドル=超過額900万ドル――となる。それに対し、繰り延べ払いがなく、大谷の年平均額が7000万ドルだと、年俸総額は2億7000万ドル、超過は3300万ドルだ。

 とはいえ、7000万ドルではなく4600万ドルであっても、どの選手よりも高いことに変わりはない。現時点で4000万ドル以上は、大谷の他に、4333万ドルのマックス・シャーザー(テキサス・レンジャーズ)とジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)、4000万ドルのアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の3人だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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