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ルヴァンからJリーグで台頭する注目選手ベスト11

河治良幸スポーツジャーナリスト
撮影:河治良幸

ルヴァン杯は4月17日と来週の24日に二回戦が行われます。いよいよJ1クラブが登場しますが、これまでリーグ戦であまり出番がない選手から、ルヴァン杯の活躍をきっかけにJリーグで救世主的な存在になりうる11人を選びました。

※怪我の情報を認知している選手、現在U-23アジア杯に参加している選手、二回戦に登場しない横浜F・マリノス、川崎フロンターレの選手は今回の選考対象から外しています。

GKはいきなり、一番悩みましたが児玉潤(北海道コンサドーレ札幌)に。3月下旬にY.S.C.C.横浜から加入した選手で、まだ札幌での立場を確立したと言えませんが、驚異的なフィード力はJリーグでも屈指であり、セービングも175cmというサイズを補ってあまりあるフットワークと反応で、常識を覆すポテンシャルを秘めています。

守護神として期待された高木駿が長期離脱、現在は百戦錬磨の菅野孝憲が、ユース出身の阿波加俊太とポジションを争っている状況で、ルヴァン杯でもいきなりの出番が来るかは不明ですが、ビルドアップから支配できていない状況を打破する1つのトリガーとしても期待できます。

右サイドバックは無限大のポテンシャルを買って、望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)を抜擢。192cmというサイドバックでは破格のサイズと高い運動能力で、一気にブレイクする可能性を秘めています。センターバックは荒削りながら、抜群のエアバトルを誇る松田佳大(京都サンガ)と機動力が高く、ビルドアップに優れる高橋直也(湘南ベルマーレ)というセットで構成しました。個々の能力もさることながら、組ませたら面白いと考えました。

左サイドバックはこの人しかいないというぐらい、今やる気に満ち溢れている宇賀神友弥(浦和レッズ)です。J3のFC岐阜から帰ってきた今シーズン、チーム内での立ち位置が見えていた中で「そこのルヴァン杯がプレーのチャンスなんじゃないかと思ってました」と語るように、カレンダーを目にした時から、ルヴァンの日程は目に入っていたようです。

もちろん存在感あるプレーを示して、浦和のへグモ監督にリーグ戦での起用を前向きに考えさせるために、120%のプレーを見せるでしょう。そして最近リーグ戦でチャンスを得たDF石原広教などと一緒に「何があるか分からないからって。何番手だろうと何があるか分からないし、常に準備するんだよってお互いに言い合ってた」と語る宇賀神の活躍は、昨年のニューヒーロー賞ながら、同じくリーグ戦に絡めていない18歳のMF早川隼平など、若い選手たちにも大きな刺激なるはず。

ボランチは17歳ながら高度な技術と落ち着きでゲームを組み立てる中島洋太朗(サンフレッチェ広島)とJ2の長崎から昨シーズンのJ1王者にやってきた鍬先祐弥(ヴィッセル神戸)です。中島は昨年のU−17W杯で主力を張っていた選手で、年齢的にニューヒーロ賞の資格も十分です。鍬先は神戸のスカウトが目を付けただけあり、ボールを奪い能力と早いテンポでもミスの少ない安定したボール捌きが持ち味。今治戦から中盤の潤滑油として、アピールを期待したいところです。

二列目は躍動感のある3人をチョイス。右サイドの松村優太(鹿島アントラーズ)は昨シーズンの後半戦で主力に定着、パリ五輪の代表候補にも選ばれるなど、上昇気流に乗っていましたが、ランコ・ポポヴィッチ新監督のもとでは開幕当初からベンチ外が続いていました。それでも腐らず、前向きにアピールし続けたことが実り、5試合連続で途中出場。しかし、そんなことでは満足しないでしょう。ルヴァン杯でスタメン起用されれば、結果と姿勢で指揮官を唸らせる期待は十分です。

左サイドは開幕戦から8試合連続で途中出場の古川陽介(ジュビロ磐田)。スピード自慢の松村ともまた違った、変幻自在のドリブルで、左サイドから数多くのチャンスを作って流れを呼び込んでいますが、ゴールとアシストは記録できていません。ルヴァン杯でスタメン起用されれば、パフォーマンスだけでなく、結果で価値を証明して、リーグ戦でのスタメン出場への足掛かりを掴みたいところです。

10番ポジションあるトップ下には2022年のニューヒーロー賞である北野颯太(セレッソ大阪)を選びました。高校生ながら9試合3得点という結果で受賞しましたが、昨年は右膝を負傷。開幕後にようやく戻ってきた北野は第5節の湘南戦で復帰後の初ゴールをあげました。首位を走る好調のセレッソでポジションをつかみ、ここから再び代表のレースに乗って行くためにも、思い入れのあるルヴァン杯は相応しい舞台といえます。

FWは唐山翔自(ガンバ大阪)です。本来のセンターフォワードですが、ここ最近は右サイドからゴール前に絡んでいくフィニッシュワークにもやりがいを感じているようです。1つ下のFW坂本一彩が2−1と勝利した鳥栖戦で同点ゴールをあげたこともあり、燃えているはず。まずは週末の浦和戦が見せ場となりますが、スタメンが見込まれる琉球戦でのゴールが期待されます。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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