フレッシュ球宴でリフレッシュして後半へ― 阪神タイガースのルーキー4人衆は同い年です!
ことしの『プロ野球フレッシュオールスターゲーム』は、7月13日に静岡草薙球場で開催されました。開催された、と一言で片づけるには大変な状況で…。朝早くから試合が始まってからも雨と戦い続け、駆け回ってくださった関係者の皆様のおかげでしょう。いや~もう今回の豪雨は半端じゃなく“しつこかった”ので、試合は絶対できないと思いましたね。
その雨については、こぼれ話でまた改めて書かせていただきます。そんな、きっと記憶に残るであろう『フレッシュオールスターゲーム2017』ですが、“記録”にも残る一戦となりました。結果は0-0の引き分けで、これが史上初だとか。イースタンとウエスタンの対決では、53度目にして初めてのスコアレス・ドローだそうです。
しかもウエスタンが4安打、2四球、11三振(残塁5)。イースタンは4安打、1四球、11三振(残塁4)。両チームともエラーなし。これぞ『引き分け』って感じの試合でしょう?所要時間も、ウエスタン8人、イースタン9人のピッチャーが登板したにもかかわらず2時間10分という短さ!これも驚きです。なお通算対戦成績はウエスタン27勝、イースタン20勝、6分けとなりました。
フレッシュオールスターゲーム2017
(7月13日 静岡草薙球場)
ウ選抜 000 000 000 = 0
イ選抜 000 000 000 = 0
※規定により9回引き分け
◆二塁打 ウ:曽根2(ソ)、桑原(広)、イ:佐野(De)
◆盗塁 ウ:宗(オ)
【表彰選手】
◆最優勝選手賞 (100万円とトロフィー)
ウ:曽根(ソ) 二塁打2本
◆優秀選手賞 (50万円とトロフィー)
イ:藤平(楽) 1回で2三振など三者凡退
ウ:古屋(ソ) 2回で3三振などパーフェクト
同い年のルーキーカルテット
阪神タイガースからはドラフト1位・大山悠輔選手(22)、2位・小野泰己投手(23)、6位・福永春吾投手(23)、7位・長坂拳弥選手(23)の、ルーキー4人が出場。昨年の守屋投手、青柳投手、坂本選手、板山選手に続いて、ことしも同学年、というか“同い年カルテット”ですね。昨年の記事で、全員が同じ学年というのは1994年のジュニアオールスターゲーム(札幌丸山球場)に出場した井上貴朗投手、平尾博司内野手、高波文一外野手の高校出ルーキー3人以来だと書いています。
ちなみに“全員ルーキー”というのは、2001年に藤田太陽投手、沖原佳典選手、梶原康司選手(※ケガをした藤本敦士選手に代わっての出場)、赤星憲弘選手が東京ドームのフレッシュオールスターゲームに出ています。年齢は21歳から28歳までと幅が広かったですね。ことしは全員が同い年のルーキーなので、やはり上記の1994年以来。私が初めてジュニアオールスターの取材に行った年というのもあり、今でもよく覚えています。3人ともまだ18歳で、出番を終えて戻ってきたら「膝がガクガク~!」と緊張しまくりでした。
それよりは“オトナ”の4人が出場した、ことしのフレッシュオールスター。しかも3人は1軍経験者、長坂選手もオープン戦でマスクをかぶっていますからね。では、それぞれの成績と試合後のコメントをご紹介しましょう。
「すごくいい一日になりました」
大山選手は1番ファーストでフル出場。1回(西武・今井徒手)はセンターのフェンス前まで飛んだ当たりを、楽天・田中選手にナイスキャッチされ中飛。3回(ヤクルト・梅野投手)は四球、5回(ロッテ・成田投手)は一邪飛、8回(ロッテ・酒居)は左飛という打席内容で、守備機会は4度、いずれも問題なし。
終わっての感想は?「(自分自身の打撃の)内容はよくなかったけど、すごくいい一日になりました。公式戦とは違い、ベンチの中でいろんな選手と話をしたりしてコミュニケーションを取れたし、違う球団のいいとこなどもわかった。どの球団もいいところがあって、もちろん僕たちにもいいとこがあると。融合じゃないですけど、きょうの試合を自分の野球人生に生かせればいいなと思ったので、これから大切にしていきたい」
さすがドラフト1位、視野を広げてきたんですね。他球団のいいところというのは、たとえば施設面など?と聞かれ「雰囲気とかいろいろあります。勉強になりました」と言っています。それをチームに持ち帰って生かしたい?「自分は一番下なので、浸透させるってのは難しいと思います。まずは自分自身から取り入れられれば」
試合前の練習で、掛布監督から久々の指導を受けましたね?「お話はさせて頂いていたので、久しぶりでもなかったんですが。ファームで指導して頂いたことが今に生きているのは間違いないと思っています。自分のレベルアップにつなげないと」。これをきっかけに、また1軍で活躍して恩返しです。
後半に向け、直球に手応え
小野投手はウエスタンの先発で1回1イニング、10球を投げました。巨人・吉川尚選手を左飛に、西武・鈴木選手は遊ゴロ、楽天・田中選手から150キロの真っすぐで空振り三振を奪い三者凡退です。
フレッシュオールスターはどうだったか尋ねると「楽しかったです!」といい笑顔が返ってきました。試合前にも「雨が心配」と話していたんですけど、登板した1回はまだ雨が…。「はい、まだ少し降っていましたね」。先発として投げた1イニングを振り返り「やっぱり気持ちの面で、そんなに緊張なく、楽しく投げられたって感じです」と、普段とは違う雰囲気を楽しんだようです。
後半につながる?「きょうは真っすぐだけだったんですけど、スピードがしっかり出ていたので、そこはよかったかなと思いました」。前半と何か変えるところは?「特にないですね。先発としてしっかりゲームを作ることをやっていかないと、と思います。最近はそれなりにゲームを作れているので、まあ後半もそれを続けられるように、準備をしっかりやっていこうかなと」
来年はオールスターで、と言ったら「あははは!そうですね」と小野投手。そして、あちらはMVPの賞金が200万円(すみません!300万円でしたね)だと付け加えると、また「あはは!」とすごく楽しそうに笑っていました。
力みすぎてスリーボール
次は福永投手。6回裏に登板して、小野投手と同じ1番からの3人を相手に三者凡退!球数は17です。巨人・吉川尚選手は左飛(この回から守備についたオリックス・吉田雄選手がランニングキャッチ!)、西武・鈴木選手は二ゴロ、そして、これも小野投手と同じで楽天・田中選手からは真っすぐで空振り三振でした。
どうだった?と聞くと「楽しかったです!でもちょっと力みすぎましたね」と苦笑いです。あ~なるほど、いきなりスリーボールになったのは力が入っていたからだったんですか。「楽しみやな~と思っていたら、力みすぎて。途中で気づきました(笑)」。キャッチャーも長坂選手から広島の坂倉選手に代わっていましたしね。でも気づいてよかった。
初めての祭典はどうだったか聞くと「公式戦とは違った雰囲気で、すごくいい話もできましたし。(他の選手たちに)負けずに頑張りたいですね」と答えてくれました。後半に向けての教訓は「『力んでもいいことはない』。今後に生かせるかな(笑)」とのこと。はい、次に1軍で投げる時にきっと生きますよ。
「初球からいかないと!」
続いて長坂選手です。ウエスタンはキャッチャーが4人も出場していたため(イースタンは2人だけ)、先発のソフトバンク・栗原選手が3イニングで、あとは2イニングずつ。打席も仲良く1回ずつでした。長坂選手は4回表に代打で出て、いきなり初球を打って二ゴロ。外野へ抜けるか?と思ったんですが残念。ではコメントです。
こういう雰囲気は初めてでしょう?「はい、楽しかったです!」。代打での1打席のみ。しかもすぐ打っちゃった…。「初球からいかないと!でなきゃ『いけよ~』って言われるでしょ(笑)。でも振るのが早すぎて、先っぽでした」。リードの方は?「1球ポロッとしたけど」と苦笑いしてから「いいピッチャーだったんで、僕のリードではないですね。ピッチャーが抑えてくれました」とキャッチャーらしいことを言っています。でも2回無失点ですよ。「いやいや、僕は真っすぐのサインを出しただけだったんで」
そうそう、真っすぐのみかと思ったら変化球もあったけど?「はい、真っすぐのサインに首を振られたのでスライダーを」。なるほど。結果は空振り三振でした。なお「親と知り合いが見に来ています」と言っていたものの「どこにいるかわからなかった」とか。でも試合前に後輩の皆さんに会ったので、次の記事で紹介させていただきます。
最後に後半戦に向けての抱負を聞かれて「頑張りたいですね!」と意気込む長坂選手でした。
掛布監督が語る、大山&小野
では締めくくりに掛布監督の談話です。1軍経験のある3人のことだけになりましたが…
「大山は最初、風が逆だったけどうまく打てていた。それなりにね。小野は落ち着いていたね。一皮むけたんじゃない?おどおどしてないもん。やっばり下で何試合投げるより上で投げる厳しさを知って、甲子園のマウンドからすれば(きょうのような試合は)楽なんだと思うよ。福永は広島の1軍に打たれて、自分のピッチングを取り戻せなかったが、だいぶよくなった。1イニングだけだけど、最初のバッターを打ち取ってから彼らしさが出た。きょうは福永のピッチングが、僕としてはよかったかな。小野と大山は上でやらないといけないから」
その2人が1軍で得てきたものは大きく、たとえファームにいても成長したことは間違いないとのこと。監督は「1軍の雰囲気が、違う力を出させるんだよ。今の状態なら、ある程度の対応はできる気がする。これからだよ、厳しくなるのは。北條にしても原口にしても苦しんでる。まあ北條は上がってくるかもね。チームの競争がいい風を吹かせるから。北條にも期待するし」と言います。
負けるもんかという気持ち?「気持ちは大事だよ。だけど技術がなければ落ちてくる。体力も同じ。技が体と心を助ける。また心が体と技を助け、体が技と心を助けることもある。そのバランスが大事。与えられた打席でパフォーマンスを見せるには、準備が大切。心も体も技術も、すべての準備が大切」
そんな掛布監督は、昨年のフレッシュ救援に続いて、ことしもオリックスの選手にバッティングのアドバイスをしました。その話も次の記事でご紹介します。