Yahoo!ニュース

この2人は、昨年まで在籍していたチームとワールドシリーズで対戦する。どちらも生え抜きが昨オフに移籍

宇根夏樹ベースボール・ライター
ギャレット・スタッブス/捕手はクリスチャン・バスケス Oct 4, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月28日に始まるワールドシリーズは、ヒューストン・アストロズとフィラデルフィア・フィリーズが対戦する。

 アストロズのリリーバー、ヘクター・ネリスは、昨オフに移籍するまでフィリーズにいた。一方、フィリーズの控え捕手、ギャレット・スタッブスは、昨オフに移籍するまでアストロズにいた。順序は逆ながら、2人とも、在籍したことがあるのは、この2球団だけだ。

 ドミニカンのネリスは、2010年にフィリーズへ入団し、2014年にメジャーデビュー。昨オフにフィリーズからFAになり、アストロズと2年1700万ドルの契約を交わした。フィリーズ時代の8シーズンは、405登板の407.2イニングで奪三振11.48と与四球率3.33、防御率3.42。スプリッターを主要な変化球とし、84セーブと55ホールドを記録した。今シーズンは、70登板の65.1イニングで奪三振10.88と与四球率2.34、防御率3.72。セーブが3、ホールドは25だ。

 スタッブスは、2015年のドラフト8巡目・全体229位。ちなみに、この年のアストロズはトップ5の指名権を2つ持っていて、全体2位でアレックス・ブレグマン、全体5位でカイル・タッカーを指名した。2019年5月にメジャーデビューしたスタッブスは、そこから3シーズンで51試合に出場し、打率.182と出塁率.238。昨オフ、マイナーリーガーと1対1の交換でフィリーズへ移り、今シーズンは46試合で打率.264と出塁率.350に加え、アストロズ時代にはなかったホームランを5本打った。1本目と2本目は2試合連続、3本目はサヨナラ本塁打だ。

 また、アストロズと対戦した10月4日の試合で、9回表に先頭打者として打ったヒットは、あと3アウトのところでノーヒッターを免れる一打となった。この試合は、アストロズの3投手、ジャスティン・バーランダーハンター・ブラウン、ネリスが計8イニングを投げ、フィリーズを無安打に封じた。9回表に投げたウィル・スミスは、ここまでのポストシーズンでロースターに入っていない。

 フィリーズがワールドシリーズを制すれば、スタッブスにとっては2年連続の優勝となる。ただ、ネリスがアストロズのポストシーズン7試合中5試合で登板しているのに対し、スタッブスはまだ一度も出場していない。フィリーズでは11試合とも、J.T.リアルミュートが最初から最後までマスクをかぶっている。

 捕手というポジションの特性上、スタッブスはワールドシリーズのロースターにも入るだろうが、出場機会があるかどうかはわからない。昨年のポストシーズンは、出場1試合。ロースターに入ったディビジョン・シリーズは出番がなく、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズはロースターから外れた。ワールドシリーズもロースター外ながら、控え捕手のジェイソン・カストロが新型コロナウイルスの検査で陽性反応となったため、シリーズの途中でロースターに加わり、第6戦の8回裏にマーティン・マルドナードが代打を送られたのに伴い、9回表の守備についた。

 なお、弟のC.J.スタッブスは、アストロズに在籍している。こちらも捕手で、2019年のドラフト10巡目・全体316位。メジャーデビューはしておらず、今シーズンはA+とAAでプレーした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事