西の大砲 安田(履正社)胸中激白!「清宮に追いつけ追い越せでやってきた」
26日のプロ野球ドラフト会議で、清宮幸太郎(早稲田実=東京)、中村奨成(広陵=広島)と並び上位指名を確実視される履正社(大阪)の安田尚憲内野手(3年)が、目前に迫った「運命の日」を前に胸の内を明かした。
楽しみと不安と
「これからの人生が決まる日」と安田が言うドラフトは目前に迫った。
「楽しみでもあり、不安もある。その日になってみないとわからない」は正直な心情だろう。子どもの頃は、「憧れのビッグイベント」と捉えていたが、いざ当事者になると、「さすがに眠れなくなることはないと思うが、緊張はすると思う」と揺れ動く胸の内を吐露した。以前から特定のチームのファンということはなかったようだ。したがって、『12球団OK』が基本線で、指名に二の足を踏む球団はなさそう。T-岡田(オリックス)、山田哲人(ヤクルト)、寺島成輝(同)に続く履正社4人目のドラフト1位指名に期待がかかる。寺島と2年連続の1位指名になれば開校以来初の快挙だ。
高校65本塁打 清宮との直接対決で勝つ
安田は、1年秋からレギュラーとして活躍。2年夏、3年春と甲子園に出場し、今センバツ準決勝の報徳学園(兵庫)戦で本塁打を記録した。U18日本代表でも3番を任され、豪州戦でサヨナラ打を放つなど、打率.324の好成績。
高校通算65本塁打で、「東の清宮 西の安田」と並び称される高校球界屈指のスラッガーだ。父は高校駅伝優勝経験のある大阪薫英女学院陸上部監督、母はやり投げの国体選手、兄はPL学園(大阪)~明大~三菱重工名古屋野球部で活躍というアスリート一家で育った。188センチ95キロの体格は今すぐプロに入っても見劣りしない。ライバル・清宮とは昨秋の神宮大会決勝で当たり、両雄のアーチ競演という華々しい打ち合いになったが、履正社が11-6で勝っている。これが唯一の直接対決となった。
U18では清宮 中村と
U18では国内合宿で清宮と同部屋になった。昨秋は、「軽く振っていてあれだけ飛ばす。受け答えも落ち着いているし、雲の上の存在」と一目置いていた。三週間一緒に過ごし、「いろんな会話をする中で考え方もわかったし、人柄もよかった」とすっかり打ち解けたようだが、本職の野球でおくれを取るつもりはない。「清宮に追いつけ追い越せで向上心を持ってやってきた。長打力で負けているとは思わない」とライバル心をのぞかせた。中村については、「(テレビで)見るたびにホームランを打っていてすごいなと思った。見ていて楽しかった。夏の甲子園は中村の大会」と冗談ぽく話し、「でも実際はお調子者で、明るいムードメーカー」と意外な一面を明かしてくれた。それでも、「振る力は強く、身体能力が高かった」ともう一人のライバルもしっかり観察している。
「安田のホームランが見たい」と言われるよう~岡田監督
父が日本史の教師でもあり、「子どもの頃から司馬遼太郎さんの難しい小説も読んでいた」という大の歴史好き。お気に入りの戦国武将は真田幸村で、「死ぬ間際まで信念を貫いて、ブレないところが好き」だそうだ。選手としての目標は同じ左の強打者・松井秀喜さんで、「野球だけでなく人間性もすばらしい」と著書を愛読するほど惚れ込んでいる。
勝負に徹する高校野球独特の重圧からはすっかり開放されたようで、髪も伸びて朗らかになったように思う。「茶髪にしたり、ヒゲをはやしたりはしない。大谷(翔平=日本ハム)さんのように『普通な感じ』でいきます」と社会人としての心構えもしっかりしている。現在は「プロに備えて」(安田)、日々の練習に参加し、後輩にもアドバイスを送っている。恩師の岡田龍生監督(56)は、「精神状態はほかの生徒より何段か上。選手としては、大差がついてお客さんが帰ってしまうような試合でも、『最後に安田のホームランを見て帰ろか』と期待してもらえるような、魅力あるホームランバッターになって欲しい」と愛弟子にエールを送った。「まずはプロにいって、それからが本当の勝負」と言い切る18歳に、未来は大きく広がっている。