“全面禁煙”に値上げリレーを日本に先んじて導入した韓国「タバコ事情」はどうなっているのか
日本の喫煙者率が3年連続で過去最低を更新したという。
日本たばこ産業(JT)が7月30日に発表した調査結果によると、2018年5月時点の全国喫煙者率は17.9%。前年から0.3ポイント低く、過去最低を更新したそうだ。
つい先日も全庁舎禁煙を掲げる神戸市役所に喫煙部屋があったことがわかり、撤去されるとのことだが、喫煙者への風当たりは年々強くなっているとされている。
韓国では値上げ&全面禁煙で警察沙汰も
東京オリンピックに向けて飲食店での全面禁煙もささやかれているが、すでにお隣・韓国では2015年からすべての飲食店で喫煙が禁止されている。
タバコの大幅値上げも行われており、警察沙汰の事件も起こったほどだった。
(参考記事:大幅値上げに全面禁煙、値上げ前には警察沙汰も!! 韓国喫煙者たちの悲鳴)
では日本に先んじて、タバコの“値上げリレー”や全面禁煙が実施されている韓国の喫煙率はどのくらいなのだろうか。
韓国の保健福祉部(部は日本の省に相当)が「OECD保健統計(Health Statistics)2018」を分析した結果によると、18.4%(2016年基準)。日本よりも0.5ポイントと若干高い数字だ。
男女別で見ると、男性は日本27.8%、韓国32.9%と5ポイント近くも高い。逆に女性は、日本8.7%、韓国4.1%で日本が倍以上という結果だった。
ただ、韓国女性の喫煙率の数字は怪しいとの指摘がある。韓国保健福祉部の「国民健康栄養調査」では6.4%と発表されていたし、「女性喫煙率6.4%?…“実際は17.3%に上るだろう”」(『聨合ニュース』)といった分析もあった。
また、7月1日から段階的な禁煙となってしまった“スモーキング・カフェ”に訪れる客の7割が女性という証言もあった。
それでも韓国の喫煙率は、「OECD平均よりも0.1%低い」(『ニュース1』)とのこと。20年前の1998年当時は喫煙率が66.3%だっただけに、いかに韓国でタバコ離れが加速したかがわかるだろう。記者仲間や芸能関係者など、筆者の周辺でもここ数年の間でタバコをやめた人たちがとても多くなっている。
特筆すべきことは、こうした状況の中で韓国政府は喫煙率をさらに下げようと本腰を入れていることだ。
強烈過ぎる警告画像をさらに大きく?
例えば、タバコの箱に掲載されている注意文と警告画像である。
韓国で発売されているタバコの箱には、すでにその半分のスペースに注意文と警告画像が掲載されている。
喫煙で発症可能性が高いとされる肺がんをはじめとする患者の写真なのだが、この写真を見ると思わずタバコ購入を躊躇しそうなレベルである。
(参考記事:韓国政府が“喫煙との戦争”を宣言!! 強烈すぎる禁煙キャンペーンとパッケージ警告画像)
韓国保健福祉部は、その警告画像と注意文の面積を現在の50%から70%に増やそうとしているというのだからかなり本気だ。強烈なショック療法で喫煙のデメリットを訴え、禁煙ムードをさらに高めようとしている。
実際、警告画像の効果は高いようで、カナダの研究結果によると、喫煙者になる確率が12.5%下がり、喫煙者が禁煙しようとする可能性を33%も増加させたとも報じられていた。
何よりも「喫煙警告画像導入後、タバコの販売量が減少」(『ソウル経済』)といった記事があるように、警告画像が本格的に導入されてから韓国ではタバコの販売量が下がっている。
禁煙の流れに向かう日本でも今後、導入される可能性があるのではないだろうか。
しかしその一方で、韓国でも加熱式タバコの需要が伸びている。
加熱式タバコが人気。販売量は2倍に
韓国企画財政部が7月17日に明かしたところによれば、上半期のタバコ販売量は前年同時期比1.6%減少した16億8400万箱。そのうちアイコス(IQOS)などの加熱式タバコの販売量は1億5600万箱で、10%に肉薄している。
日本から遅れて韓国でも加熱式タバコが2017年5月頃から販売されているが、昨年下半期の販売量は7900万箱だった。つまり今年に入って販売量が倍増している計算になる。
発売当初から長蛇の列ができて、トラブルまで起きたと聞いていたが、実際に紙タバコから切り替える人が多いようだ。
(参考記事:ついに韓国でも販売開始された加熱式タバコ「IQOS」。独自の制度でトラブルも?)
いずれにしても厳しい政府の対応によって、韓国では喫煙率が年々下がっている。日本も韓国と同じように減少が続くのか、注目してみたい。