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オートバイのあれこれ『バイク界のGT-R!? ホンダRC30』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今朝は『バイク界のGT-R!? ホンダRC30』をテーマにお話ししようと思います。

オートバイネタが中心でありつつ、最近はクルマの話もちょくちょく絡むようになってきた当コーナーですが、今回もクルマ要素が入る記事になります。

皆さんは、『RC30』(アールシーサンマル)というバイクを知っているでしょうか。

▲ホンダ『VFR750R』(1987/画像引用元:本田技研工業)
▲ホンダ『VFR750R』(1987/画像引用元:本田技研工業)

RC30とは、ホンダが1987年(昭和62年)にリリースしたスポーツバイク『VFR750R』のこと。

このVFRの型式が[RC30]だったことから、当時のバイクファンたちはVFRのことを「アールシーサンマル」と呼んでいました。

RC30は今も“憧れのオートバイ”として語られることの多い名車なわけですが、このRC30が話題になると、たまに「32のスカイラインGT-Rみたいな存在だね」と言われることがあります。

▲日産『スカイラインGT-R』(BNR32/1989)
▲日産『スカイラインGT-R』(BNR32/1989)

どういうことかと言うと、RC30とR32型スカイラインGT-Rは出自が似ている、つまり、どちらも“レースに勝つため”に生まれてきたということなのです。

言い換えれば、商売のことよりも性能(速さ)を優先して開発されたスパルタンな者同士ということですね。

RC30は、先代のVFR750F(RC24)が市販車ベースのレースでなかなか勝てなかったことをきっかけに開発されました。

その開発目標はズバリ「鈴鹿8耐(鈴鹿8時間耐久ロードレース)でプライベーターが勝てる市販車を作る」というもの。

いわば、世界のトップライダーが駆るカリカリのワークスマシンを脅かせるだけのポテンシャルをストック状態で持たせることにしたのです。

▲ライトやミラーが付いているだけで、実質的にはほぼレース車両(画像引用元:本田技研工業)
▲ライトやミラーが付いているだけで、実質的にはほぼレース車両(画像引用元:本田技研工業)

そんな割り切った開発目標ゆえ、RC30は当時のホンダのワークスレーサー『RVF750』(NW1C)とウリ二つの設計とされました。

フレーム、エンジンがRVFとほぼ同じ仕様なのは当然のこと、車体のディメンション、細かい部分の設計までもRVFのものを踏襲していて、RC30はまさに「ナンバーを取れるようにしたRVF750」と言っても過言ではない造りとなっていました。

一方のR32型スカイラインGT-R(以下、BNR32)は、インターTEC(国際ツーリングカー耐久レース)において日本車が外国メーカー勢を前に奮わない状況のなか、日産が「グループA(量産車クラス)で世界一を獲る」という目標を掲げ開発されました。

▲ストック状態でかなり高いポテンシャルを秘めていた
▲ストック状態でかなり高いポテンシャルを秘めていた

RC30同様、BNR32はレースで勝つことが使命だったため、エンジンは最初から600psオーバーのパワーにも耐えうるキャパシティが持たせられ、また当時の日産の最新技術『アテーサE-TS』(電子制御式トルクスプリット4WD)も市販状態で投入されていました。

結果的にBNR32はデビュー直後からレースで別格の速さを見せ外国勢を駆逐、見事世界一を獲るという目標を達成したのでした。

ちなみにRC30もデビュー後、鈴鹿8耐で3度、WSBK(スーパーバイク世界選手権)で2度チャンピオンを獲得するなど、BNR32と同じくレースに勝つ目標を十分なまでに成し遂げたのでした。

誕生の経緯から活躍ぶりに至るまで、よく似たストーリーを辿った2車。

活躍した時代もほとんど同じですね。

「RC30はGT-Rみたいだね」というセリフが、理解できたのではないでしょうか。

いつかどこかのサーキットで、RC30とBNR32がランデブー走行するところを見てみたいものです。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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