待望のアメリカ皆既日食 気になるお天気は?
「Great American Eclipse (偉大なるアメリカの日食)」。
現地時間8月21日にアメリカで見られる皆既日食には、このような仰々しい名称がつけられています。それもそのはず、今回の皆既日食は、世界中でアメリカ本土のみしか見ることができないからです。前回アメリカが唯一の皆既日食の観測地となったのは1257年。つまりアメリカ建国よりも、はるかに以前のことなのです。
皆既日食の原理
皆既日食はどのようにして起こるのでしょうか。
皆既日食は、月の影が太陽をすっぽり隠す現象ですが、これが起きるのは、太陽・月・地球が一直線に並んだ時です。このため、皆既日食は月と太陽と地球のダンスと言われたりもします。平均すると18ヶ月に一回、世界のどこかで皆既日食が起きています。
皆既日食の通り道
今回のアメリカの皆既日食のスタートは、西海岸のオレゴン州です。その後皆既日食のエリア(皆既日食帯)は南東方向に移動し、最後にサウスカロライナ州に到達、計14州を通過します。太陽の欠け始めから終わりまでの時間はおよそ2時間ですが、今回太陽が完全に月の影に隠されている時間は、最大でたったの約2分40秒です。
これほど短い現象ですが、日食は「天文現象の華」と呼ばれるほど、一度見た人の心を掴んで離さないようです。この魅力に取り憑かれた人々は「日食病」などとも呼ばれ、日経ビジネスの記事によると、国内には2,000人から3,000人の”重症患者”がいるようです。
今回の日食に関するトリビア
日食のクロスロード
アメリカは、幸運にも2024年4月8日にも皆既日食が見られます。次回の皆既日食はメキシコから始まり、アメリカ大陸を北東に進んで、カナダ東部に達します。面白いことに、今回の皆既日食帯と2024年のそれとを合わせてみると、イリノイ州南部のカーボンデールという、とある小さな町周辺で交差することがわかります。つまりこの町は、7年以内に2回も皆既日食が見られるのです。一般に同じ場所で皆既日食が見られるのは平均して375年に一度と言われていますから、天文学的な確率でラッキーな場所と言えます。
太陽エネルギー減少
太陽が完全に隠れている時はもちろんのこと、日食時はソーラー発電の発電量が減少します。アメリカでは一億枚以上のソーラーパネルに影響が出るとも言われていて、代替エネルギーの確保などの対策が講じられています。
太陽の直径が見直される可能性
興味深いことに、今回の日食によって、太陽の直径が正確に計算され、その結果、今まで考えられていた直径よりも数百キロ大きく修正される可能性があるようなのです。
日食時の天気は?
さて、日食観察の大いなる敵は、なんといっても雲ですね。日食を見にわざわざ海外に行ったのに雨だったとか、そういう類の残念なお話をよく聞くことがあります。ただ今回の日食エリアは、夏場の高い晴天率を誇るアメリカ西部も包含していることもあって、ことのほか観測成功率は高そうです。アメリカ気象局発表の21日の天気予報をまとめてみました。
西部では広い範囲で晴れる確率が高そうです。一方東部では晴れ間もあるものの、日食の起こる午後には落雷の可能性もありそうです。
日食観測に行かれる方は、思い出に残る旅となりますように。またそれ以外の方は、[www.nasa.gov/eclipselive NASAのサイト]から皆既日食の様子が見られます。